糖尿病だとEDになりやすい?原因や改善する方法を解説

糖尿病になると、EDの発症率が上がります。 糖尿病は血管や神経にダメージを与え、勃起に必要な血流や信号の伝達に悪影響があるためです。 病気が進行すると、最悪の場合、陰茎が完全に勃たなくなるかもしれません。 しかし、糖尿病によるEDは生活習慣を整えると、改善が期待できます。 この記事では、糖尿病患者がEDになりやすい原因やEDを見分けるポイント、EDを改善する方法を解説します。

この記事でわかること

  • 糖尿病とEDの関連
  • 糖尿病によるEDの原因
  • 糖尿病由来のEDの見分け方
  • 糖尿病によるEDの治療法
  • 糖尿病によるEDの改善方法

普段の生活で意識できるEDの改善方法もお伝えするため、ぜひ生活に取り入れてみてください。

糖尿病とEDの関係性【発症する確率】

糖尿病とEDは、強い関連性があると考えられています。
ある研究では、糖尿病男性の半数以上がEDを発症し、糖尿病の男性は、その他の男性よりもED発症率が3倍以上高くなると報告されています。

糖尿病は、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンの作用が不足して血糖値のコントロールができず、高血糖が続く病気です。
高血糖状態が続くと血管や神経がダメージを受け、陰茎への血流が減少したり神経伝達が鈍くなったりして、ED発症のリスクが高まります。

糖尿病とEDは密接な関係があるといえます。

糖尿病のせいでEDになる3つの原因

糖尿病によるEDの原因は、おもに以下の3つが考えられます。

  • 血流が悪くなる
  • 海綿体の機能が低下する
  • 刺激を伝える神経の働きがにぶる

それぞれ見ていきましょう。

血流が悪くなる

糖尿病は「動脈硬化」を引き起こし、勃起に必要な血流をさまたげる原因になります。
動脈硬化とは、血管が硬くなり、弾力性がなくなる病気です。血管の壁が傷ついたり異常を起こしたりすると分厚くなり、血管内が狭まります。
結果として血栓ができ、血管が詰まりやすくなります。

糖尿病が動脈硬化を引き起こすのは、高血糖の状態が長く続くと血管が傷つき、傷ついた血管が硬くなるためです。
柔軟性がなくなった血管には、十分な血液が流れにくくなります。

勃起は、陰茎海綿体に多くの血液が流れ込んで起こる現象のため、血流が悪くなると勃起しにくくなります。

海綿体の機能が低下する 

糖尿病は、勃起に重要な役割を果たす「陰茎海綿体」の機能を低下させる原因のひとつです。

陰茎海綿体は、血液を蓄え、陰茎を膨張させる組織です。
しかし、糖尿病による高血糖状態が続くと、この組織がダメージを受けます。
その結果、海綿体に勃起に必要な血液が十分に流れ込まず、不十分な勃起となる場合があります。

刺激を伝える神経の働きがにぶる

糖尿病による「神経障害」も、EDの原因としてあげられます。

通常、性的刺激を受けると脳からの信号が陰茎の血管に伝わり、勃起が起こります。
しかし、糖尿病の高血糖状態は神経にも悪影響を及ぼし、神経の伝達機能を低下させてしまうのです。このように神経の機能低下により、脳からの伝達が陰茎にうまく伝わらなくなると、EDにつながります。

糖尿病由来のEDの見分け方

ここでは、自身のEDが糖尿病によるものかどうかの見分け方を紹介します。

以下の項目は、糖尿病性EDが疑われる特徴です。自分の症状が当てはまるか確認してみましょう。

  • 糖尿病と診断されている、または糖尿病の症状(口渇、多飲、多尿、体重減少など)がある
  • 30~40代でEDを発症した
  • 足先や足裏のしびれ、両足底の違和感がある
  • 糖尿病に加えて、高血圧・虚血性心疾患・脳血管障害のいずれかの合併がある

一般的に、40代あたりから加齢によりEDの有病率が10%を超え始めますが、40代未満の場合、加齢以外の要因が考えられ、糖尿病も疑われます。
ただし、これらの項目は、あくまでも糖尿病性EDの特徴の一部です。正確な判断は医師の診断を仰ぐようにしましょう。

糖尿病によるEDの治療法

糖尿病によるEDの治療法は、おもに以下の3つがあげられます。

  • ED治療薬・糖尿病の薬を飲む
  • 陰部への注射をおこなう
  • 陰部の手術をおこなう

順番に見ていきましょう。

ED治療薬・糖尿病の薬を飲む

薬による治療は、おもに以下の2種類があります。

  • 血糖コントロールの薬
  • ED治療薬(バイアグラ、レビトラ、シアリスなど)

糖尿病によって高血糖状態が続くと、血管や神経にさらなる損傷を与え、EDの症状が進行する可能性があります。さらなる血管・神経の損傷を防ぐには、適切な血糖コントロールが欠かせません。
また、血管を拡げ、陰茎の血流をよくして勃起を促す「ED治療薬」も、糖尿病によるEDに効果が期待できます。

一般的に性行為の1時間ほど前の服用で効果が得られますが、個人差があります。
健康状態や服用している薬によってはED治療薬が服用できないケースもあるため、詳しくは医師へご相談ください。

陰部への注射をおこなう

陰茎海綿体に直接薬剤(プロスタグランジンE1)を注射する方法です。
注射によって陰茎の血管を拡げ、血流を増やし、勃起を促します。
海外では、プロスタグランジンE1の注射を受けた90%が勃起時の陰茎の硬さが増し、患者満足度は70%以上という結果でした。

ただし、糖尿病の患者には効きにくいといった報告もあります。
また、陰茎の痛みや違和感が副作用として出やすく、治療をやめてしまう人も少なくありません。

わずかですが、以下の症状があらわれるケースもあります。

  • 持続勃起症(性的興奮を伴わず、痛みのある勃起が長時間続く)
  • 不整脈
  • めまい

なお、プロスタグランジンE1の注射は、国内では一般的な治療法では無いため、おこなっている医療機関は限られます。
効果や副作用には個人差があります。治療法は医師と相談して選びましょう。

陰部の手術をおこなう 

「陰茎プロステーシス手術」と呼ばれる、陰茎に支柱となるシリコンを埋め込む手術です。
勃起させたいときにシリコンの位置を移動させれば、性行為に必要な陰茎の硬さを維持できます。

しかし、この手術は保険適応外のため、自己負担額が高額になる恐れがあります。陰茎プロステーシス手術は、他の治療法が効かない場合の最終手段です。
手術を受けるかどうかは、医師とよく相談してから決めるようにしましょう。

糖尿病によるEDの改善方法3つ

糖尿病性EDの改善には、適切な血糖コントロールが欠かせません。
糖尿病の改善には、以下のように生活習慣を変えることが大切です。

  • 食習慣をととのえる
  • 運動を取り入れる
  • 禁煙する

ひとつずつ見ていきましょう。

食習慣をととのえる

栄養バランスのよい食事は、血糖値のコントロールを助け、EDの改善にも効果が期待できます。
具体的には、食物繊維を豊富に含む以下のような食品を積極的に摂るようにしましょう。

  • 野菜
  • 海藻
  • きのこ類

主食には、食物繊維が豊富な玄米や雑穀米などを取り入れるのもおすすめです。

また、過剰な塩分や脂質の摂取は控える、腹八分目にとどめるなども大切なポイントです。
医師の指示する食事療法を守り、バランスのよい食事を心がけましょう。

運動を取り入れる

糖尿病性EDの改善には、運動も不可欠です。
運動の具体例は以下のとおりです。

  • 有酸素運動:ウォーキング、ジョギングなど全身を使う運動
  • レジスタンス(筋力)運動:ダンベル、腹筋、スクワットなど抵抗負荷にたいしておこなう運動

詳細は以下の通り。

運動時間 有酸素運動:週に150分以上、運動を行わない日が2日以上続かない
レジスタンス運動:週に2~3回(連続しない日程)
タイミング 食後1時間後(食後の高血糖状態の改善につながる)

有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせると、血糖値の改善効果がより期待できます。
とくに、食後の血糖値が上がりやすい方は、食後1時間程度あけてからの軽い運動がおすすめです。
ただし、合併症のある方や高齢者は高強度のレジスタンス運動が勧められない場合もあるため、医師の指示に従いましょう。

禁煙する

喫煙は糖尿病治療のさまたげになります。
喫煙によって交感神経が刺激され、血糖値が上昇するほか、インスリンの働きがさまたげられるためです。
禁煙には、以下のような方法がおすすめです。

  • タバコを吸いたくなったら、代わりの行動をとる(食後に吸いたくなったら歯磨きをするなど)
  • ニコチンガム(禁煙補助薬)を使う
  • ニコチンパッチ(禁煙補助薬)を使う
  • 禁煙外来に行く

喫煙をつづけると、血糖を正常な状態に保つのが難しくなります。
EDだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な合併症のリスクも上がるため、タバコはやめましょう。

糖尿病性EDに関するよくある質問

ここでは、糖尿病によるEDに関してよくある質問3つに回答します。

  • 糖尿病だと性欲が低下しますか
  • 糖尿病によるEDは治らないのですか
  • 糖尿病によるED治療は保険適用されますか

それぞれ見ていきましょう。

糖尿病だと性欲が低下しますか

糖尿病患者だからといって、性欲が低下するわけではありません。

 

ただし、性欲は心理状態と関連するため、以下のような点が性欲低下につながる可能性はあります。

 

  • 糖尿病による心配ごと
  • 食事制限によるストレス

 

実際、糖尿病患者の約30%にうつ症状があるといわれています。

 

糖尿病は直接の原因ではないものの、病気に伴う心理的な負担により性欲が低下する可能性は考えられるでしょう。

糖尿病によるEDは治らないのですか

現状、元の状態に戻すのは難しいとされています。

 

糖尿病の高血糖によって神経や血管が傷つくと、勃起に必要な血流のしくみが壊れてしまうためです。

 

ただし、血糖値を適切にコントロールすれば、それ以上の進行を防ぐことは可能です。

 

糖尿病の治療をしつつ、必要ならED治療薬を試してみるのもよいでしょう。

糖尿病によるED治療は保険適用されますか


糖尿病治療は保険適用ですが、糖尿病によるED治療の多くは、保険適用外です。

 

たとえば、勃起機能を改善する目的のED治療薬(バイアグラやシアリスなど)の処方は、自費診療となります。

 

ただし、不妊治療が目的のED治療で、厚生労働省の基準を満たす場合は保険が適用されます。

まとめ

この記事では、糖尿病とEDの関係性や治療法、改善の方法について解説しました。

【この記事のまとめ】

  • 糖尿病の男性は、糖尿病でない男性よりもED発症率が高い
  • 糖尿病は血管や神経などにダメージを与え、EDをもたらす原因となる
  • 糖尿病性EDの治療法には、薬の服用や注射、手術がある
  • EDを改善するためには、血糖値のコントロールが不可欠
  • 適度な運動を生活に取り入れ、栄養バランスのととのった食事を心がけることが大切

糖尿病とEDは密接に関係しており、糖尿病の治療がEDの予防や改善に重要な役割を果たします。
EDは適切な治療を受け生活習慣を変えれば、改善が期待できます。

とくに、高血糖による血管や神経のダメージがEDを悪化させる可能性があるため、規則正しい生活を心がけ、血糖をコントロールしましょう。

「EDかもしれない」と不安を感じているなら、ひとりで悩まずお気軽にクリニックにご相談ください。