EDと飲酒の関係性|お酒を楽しみながら性機能を維持する3つの方法

【この記事でわかること】
- EDと飲酒の関係性
- 飲酒がEDの原因となる理由
- 飲酒によって生じるEDの種類
- EDにつながる飲酒以外の生活習慣
- お酒を楽しみながら性機能を維持する方法
- お酒を飲んだときに立たなかったときの対処法
お酒を楽しみながら性機能を改善したい方の参考になれたら幸いです。
EDと飲酒の関係性
飲酒が勃起機能におよぼす影響は、研究によって明らかになっています。
アルコール摂取量と勃起障害(ED)に関する検討」によると、飲酒頻度が高いほどIIEF(国際勃起機能スコア:点数が低いとEDの傾向がある)が以下のように低下し、EDの傾向が強まるとわかりました。
飲酒頻度 | IIEF(国際勃起機能スコア:25点満点) |
飲酒習慣なし | 11.8 |
週2日以下 | 12.3 |
週5日以上 | 7.9 |
慢性的な飲酒は肝臓の働きを低下させ、性欲の減退につながる恐れがあります。
たとえ飲酒が習慣的でなくても、一度にとるアルコール量が多いと大脳の働きが抑制され、一時的な勃起機能の低下や遅漏、射精障害が起こる可能性も考えられます。
「毎日飲酒をする」「1回の飲酒量が多い」などの方は、EDの症状があらわれやすいと言えるでしょう。
飲酒がEDの原因となる理由
飲酒がEDの原因となる理由として、以下が考えられます。
- 陰茎への血流不足
- 男性ホルモンの乱れ
- 不安やストレスの増加
アルコールが勃起力におよぼす影響を、くわしく見ていきましょう。
陰茎への血流不足
性行為に十分な勃起を得るためには、陰茎への十分な血流が不可欠です。
しかし、アルコールを摂取すると、一時的に血管が広がって全身の血圧が下がります。
からだ全体の血流がゆるやかになるため、血液を陰茎に集中させるのが難しくなり、十分な勃起を得られません。
飲酒後に勃起が不十分になる、中折れしやすくなる方は、アルコールの影響を受けている可能性があります。
男性ホルモンの乱れ
過剰なアルコールは精巣にダメージを与え、男性ホルモン(テストステロン)の生成を阻害すると考えられています。
過度な飲酒が長く続くと、精巣が萎縮しテストステロンを分泌する「ライディッヒ細胞」が減少または機能低下するためです。
テストステロンは男性の性欲や性機能に重要な役割を果たし、分泌が低下するとEDのリスクは高まります。
不安やストレスの増加
飲酒が「抑うつ症状」や「自己評価の低下」などの心理的な問題を引き起こすと、EDにつながる恐れがあります。
また、不安やストレスは、飲酒量が増える一つの要因です。飲酒量が増えるとアルコールによる心理的な問題が悪化し、両者の悪循環がEDにつながるリスクも考えられます。
飲酒によって生じるEDの種類
飲酒が原因で発生するEDとして「器質性ED」と「心因性ED」の2種類が考えられます。
EDの種類 | 飲酒との関連 |
器質性ED | アルコールそのものが引き起こす勃起機能の低下 |
心因性ED | 飲酒時に経験した性行為の失敗をはじめとするトラウマが原因 |
飲酒がどのように勃起機能に影響しているかによって治療法は異なります。
原因を明らかにして適切な治療を受けたい方は、クリニックに相談してみるとよいでしょう。
EDにつながる飲酒以外の生活習慣
飲酒以外の不規則な生活習慣でも、ED症状が悪化すると考えられています。
- 喫煙
- 運動不足
- 食生活の乱れ
それぞれ確認しましょう。
喫煙
喫煙習慣のある方は、EDの症状があらわれやすいと言われています。たばこに含まれるニコチンが血管を収縮させ、陰茎への血液供給が不十分となるためです。
ED治療ガイドラインによると、禁煙できた人の方ができなかった人よりもEDが改善しやすいと報告されています。
飲酒量がさほど多くないのにEDの症状が気になる方は、たばこに含まれるニコチンが影響しているかもしれません。
運動不足
運動不足は、以下3つの理由によりEDを引き起こす原因となります。
- 血液循環を悪化させ、陰茎への血流が低下する
- EDのリスクとなる肥満の原因となる
- テストステロンの分泌を低下させる
ただし、「過剰な運動はテストステロンの分泌を下げる」と言われており、性機能の回復には逆効果です。
ED改善を期待する場合は、コツコツ続けられるような運動を心がけましょう。
食生活の乱れ
高脂肪・高糖質な食事は、血管の健康を損なって血流を悪化させ、EDの原因となる場合があります。
また、不健康な食生活は生活習慣病を引き起こし、EDリスクをさらに高めます。
陰茎に十分な血液を送るために、一日を通してバランスのよい食事をとるように意識しましょう。
お酒を楽しみながら性機能を維持する3つの方法
お酒をやめずに性機能を維持するポイントは、以下のとおりです。
- お酒の適量を守る
- 飲酒頻度をみなおす
- パートナーと話し合う
紹介する方法で性機能が改善できれば、飲酒時の性行為への不安を軽減できます。
お酒の適量を守る
少量のアルコールは、リラックス効果や性的興奮をうながします。
適量を超えると逆効果となるため、性行為をする可能性が高い日は飲酒量のコントロールが欠かせません。
アルコールによる影響は体質やその日の体調によっても異なるため、自分の身体の状態を考慮して飲酒量を決める必要があります。
具体的な量が気になる方は、厚生労働省の掲げる「節度ある適度な飲酒量(純アルコール20g)」を参考にするとよいでしょう。
お酒の種類 | 度数 | 推奨量 |
ビール | 5% | 中瓶1本500ml |
日本酒 | 15% | 1合180ml |
ウイスキー | 43% | ダブル60ml |
焼酎 | 35% | 1合180ml |
ワイン | 12% | グラス1杯120ml |
アルコールの適正量を守っているのに勃起しづらいと感じる方は「ほかの生活習慣が影響している」「原因が生活習慣ではない」などが考えられます。
飲酒頻度をみなおす
先述したように、飲酒頻度がEDにもたらす影響は明らかです。飲酒習慣が多い方は頻度を確認しましょう。
ただし「急激に飲酒頻度を減らす」「突然禁酒する」などはおすすめしません。
生活スタイルをいきなり変えるとストレスの原因となり、反動で1日の飲酒量が増えてEDを悪化させるリスクがあるからです。
まずはお酒を飲む日を1日ずつ減らし、時間をかけてお酒の頻度を調整するとよいでしょう。
パートナーと話し合う
EDの悩みを自分で抱え込まず、パートナーと話し合うのもよい方法です。
自分がEDである可能性をパートナーに打ち明けることで、理解とサポートを得られやすくなります。
飲酒の習慣を改善する手助けにもなり、関係性を深めるきっかけとなるでしょう。
話し合いを通じて問題を一緒に乗り越えようとする姿勢が、EDの改善にも効果が期待できます。
もし自分で言い出しにくい場合は、クリニックを受診し医師に伝え方や治療法を相談してみるのも方法の一つです。
お酒で立たないときの対処法3選
お酒を飲んだあとに勃起できない場合、以下の対処法を試してみてください。
- 性行為前は飲みすぎを控える・禁酒する
- ストレスを軽減する方法を取り入れる
- 専門クリニックを受診しED治療薬を検討する
飲酒習慣のみなおしや専門家の治療で、勃起機能の改善が期待できます。
性行為前は飲みすぎを控える・禁酒する
性行為の可能性がある日は飲酒量を控え、アルコールによる影響を少なくしておきましょう。
EDはアルコール依存症の患者で多くみられる症状で、禁酒が勃起機能の回復によい結果をもたらしたとする研究もあります。
1ヶ月、3ヶ月の禁酒期間でEDが改善されたと報告されているため、長期的な飲酒習慣がある方は禁酒を視野に入れてもよいでしょう。
ストレスを軽減する方法を取り入れる
ストレスが原因で飲酒をやめられない場合、別のストレス発散法を実践して飲酒機会を減らす工夫が必要です。
運動やヨガ、趣味などがストレスをやわらげて飲酒量が減れば、陰茎の血流が改善でき、性行為に必要な勃起力が自然に得られるかもしれません。
過剰なストレスは飲酒によるEDに加えて「心因性ED」のリスクも高めるため、専門家のサポートを受けるのもよいでしょう。
専門クリニックを受診しED治療薬を検討する
対策をとってもEDの症状が改善しないときは、生活習慣病や心の問題など、飲酒以外の要因が考えられます。
クリニックでは、生活スタイルやEDの原因や症状に合わせたED治療薬を処方できます。
なかなか症状が改善せずどうしたらよいかわからないと感じたら、クリニックに相談してみましょう。
EDと飲酒についてよくある質問
EDと飲酒にまつわる以下の質問にお答えします。
- 飲酒で射精できないのもEDですか?
- お酒を飲むとイキにくいのはなぜですか?
- アルコールは中折れの原因ですか?
- ED治療薬を飲んでいます。飲酒してもいいですか?
飲酒が与える勃起力への影響をより理解し、改善のヒントを見つけましょう。
飲酒で射精できないのもEDですか?
「勃起できない(ED)」と「射精できない(射精障害)」は、医学的には異なる症状です。
しかし、どちらの症状も、お酒を飲みすぎると起こりやすくなります。「飲酒後の性行為で射精しにくい」と感じる方は、アルコールを控えるようにしましょう。
お酒を飲むとイキにくいのはなぜですか?
アルコールは中枢神経系に作用し、脳からの性的刺激が陰茎に伝わりにくくなるため射精が困難になると言われています。
一時的な現象の場合がほとんどですが、慢性的な飲酒は性機能そのものに影響を及ぼす可能性もあります。
ただし、先述したように「勃起できない(ED)」のと「射精できない」のとでは症状が異なる点に注意しましょう。
アルコールは中折れの原因ですか?
アルコールは中折れの原因となります。
中折れもEDの症状であり、アルコールを一度にとりすぎると起こるリスクの一つです。
EDの症状は、そもそも立たない、立つけど不十分である、途中から萎える(中折れ)などさまざまです。
ED治療薬を飲んでいます。飲酒してもいいですか?
適量であれば、ED治療薬を服用中に飲酒をしても問題は起こらないケースが多いと考えられます。
それよりもアルコール自体が勃起機能におよぼす影響が指摘されているため、過剰摂取しないよう飲酒量をコントロールしましょう
まとめ
- 過剰な飲酒は血管拡張を引き起こし一時的なEDになりやすい
- 長期的なアルコール過多な状態は血流障害を招き、EDを引き起こす可能性がある
- アルコールの過剰摂取で、大脳の働きが抑制されEDが起こる
- アルコール摂取による陰茎の血流低下やテストステロンの減少も勃起能力に影響している
- 飲酒によって生じるEDには「器質性ED」と「心因性ED」がある
- 飲酒以外に、喫煙や運動不足、食生活の乱れなどがEDを引き起こすリスクを高める
- 適量の飲酒を心がける、飲酒頻度を少なくする、バランスのよい食生活や運動習慣を取り入れることが勃起機能の回復に効果的である
この記事で紹介した方法を実践しても回復が見込めない場合、クリニックの受診が勃起力改善への近道です。
どうしてもお酒をやめたくない、そもそも原因がわからないなどの場合は、一度クリニックへ相談してみてください。