EDでも射精はできる|違いやそれぞれの対処法について解説

「最近ED気味だけど射精できるのかな?」「パートナーとの夜の関係に不安を感じる…」 このように勃起や射精に悩む方もいるでしょう。 EDの有病率は30%以上を超えており、射精障害も多くの男性が経験しています。 EDと射精障害はどちらも陰部の問題ですが、原因や対処法はさまざまです。 この記事では、EDと射精障害の違いやそれぞれの種類や原因、解決策について詳しく解説します。

この記事でわかること

  • EDと射精障害の相違点
  • 射精障害のメカニズムと種類
  • それぞれの症状と原因
  • ED・射精障害の治療法

この記事によって、EDや射精障害を改善するきっかけとなれば幸いです。

ED(勃起不全)と射精障害は異なる症状

EDと射精障害は、陰部の異変という意味では似ているように感じますが、まったく異なる症状です。
EDは血流と関係が深いのに対し、射精障害は主に神経系や心理面の影響を受けやすいといった違いがあります。
症状は同時に起こる可能性もありますが、治療法は異なるため、まずはどちらの症状なのかを正確に把握するのが重要です。

  • EDとは
  • 射精障害とは

それぞれ見ていきます。

EDは勃起ができない状態

EDとは、性交の際に「十分な勃起を得られない、あるいは十分な勃起が維持できない」状態です。具体的には「性交時の75%以上で十分な勃起が得られない」場合をEDと定義しています。

EDの診断や症状の評価として主に使われるのは「国際的な問診票(IIEF5)」です。
問診票(IIEF5)の内容は、以下のとおりです。

  • 勃起を維持する自信
  • 性的刺激による挿入可能な勃起の硬さ
  • 挿入後の勃起維持
  • 性交完了までの持続力
  • 性交の満足度

各項目ごとに、1〜5点で採点し、合計スコアが21点以下の場合、EDが疑われます。
問診票による評価と合わせて、必要に応じてホルモン検査なども行われ、症状に合わせた適切な治療法が提案されます。

射精障害は射精ができない状態

射精障害とは、精液を適切なタイミングで体外にだせない状態を指します。
勃起と射精は、異なる神経系統でコントロールされているため、EDとは別の症状として捉える必要があるのです。

自慰行為では射精が可能でも、性交時に射精できないというケースもあります。
EDは血流改善が治療の中心となりますが、射精障害は自慰行為の見直しや心理カウンセリングなど、異なるアプローチが必要になる場合が多いです。

EDと射精障害の原因

性機能の問題には、さまざまな要因が関係していますが、EDと射精障害ではそれぞれ異なる原因が考えられます。
EDの原因は、主に以下の4つに分類されます。

器質性ED ・生活習慣病(糖尿病・高血圧など)

・前立腺や直腸の手術後

心因性ED ・うつ病などの精神疾患

・仕事や人間関係のストレス

混合性ED ・器質性と心因性の両者を含んだもの
薬剤性ED ・薬物の副作用(降圧薬、抗うつ薬など)

一方で、射精障害の要因は以下のとおりです。

心理的要因 ・性行為への不安やストレス

・パートナーとの関係性の問題

・過度な緊張やプレッシャー

身体的要因 ・誤った自慰行為の習慣

・手術後の神経障害

・糖尿病などの基礎疾患

・薬物の副作用

原因は一つとは限らず、複数の要因が重なっている場合もあり、症状の改善には生活習慣の見直しや専門医による適切な治療が必要です。

射精障害のメカニズム

射精は3つの重要なプロセスから成り立っています。

  • 精液を尿道へ送る
  • 尿道周りの筋肉の収縮により精液を体外へ出す
  • 精液が膀胱に逆流しないようにする

それぞれの段階で問題が起きると、異なるタイプの射精障害として現れるのです。
精液が尿道へと送られる段階が障害されると「膣内射精障害」や「遅漏」といった、射精欲求の低下として現れます。
精液が射出される段階での障害は「早漏」や「遅漏」などの症状につながります。

精液が逆流を防ぐ段階の障害では「逆行性射精」として射精感はあるのに精液が外に出ない状態になるのです。
これらの機能は異なる神経系統でコントロールされており、症状に応じた適切な治療が必要です。

射精障害は5種類

射精障害には5つの種類があり、それぞれ症状や原因が異なります。
主な射精障害の種類は、以下の5つです。

  • 射精までの時間が短くなる【早漏】
  • 射精までの時間が長くなる【遅漏】
  • 射精が膀胱側に逆流する【逆行性射精】
  • 性行為時の射精が困難になる【膣内射精障害】
  • 神経の問題によって射精不全となる【神経性射精障害】

不妊治療を受診する方で、とくに多いのが「膣内射精障害(重度遅漏)」です。
それぞれ見ていきましょう。

射精までの時間が短い【早漏】

早漏は、射精のタイミングを自分でコントロールできず、射精までの時間が短い状態を指します。
早漏には、以下の要因が影響している可能性があります。

  • 過度なストレスや疲労
  • 落ち着かない時
  • 短時間での自慰行為の習慣

早漏の定義は、単に「射精までの時間が早い」というだけでなく、パートナーとの満足度が重要な基準となるのが特徴です。
女性が希望する時間の中央値は15分とされており、カップル間での満足度や希望する時間との関係で判断されます。
そのため、治療目標はパートナーとの関係性や希望する時間に応じた、個別の目標設定が重要となってくるのです。

射精までの時間が長い【遅漏】

遅漏は、必要以上に射精までに時間がかかってしまう状態を指します。
調査によると、女性が希望する挿入時間の中央値は15分となっています。
そのため、15分以上かかると女性が「射精までの時間が長い」と感じ、遅漏の目安になるでしょう。

遅漏の原因として、誤った自慰行為による陰茎の感覚の変化や、糖尿病による神経伝達の低下といった身体的な要因が考えられます。
また、性行為への不安や過度な緊張といった心理的な要因も遅漏の原因です。
刺激の強いアダルトコンテンツへの依存や、抗うつ薬などの副作用も原因となる場合もあるため、使用している場合は注意が必要です。

射精しても膀胱側に逆流する【逆行性射精】

逆行性射精は、射精時に精液が膀胱側に流れてしまう状態を指します。
射精感は感じるものの、精液が外に出てこないのが特徴です。射精時に内尿道口が正常に閉じないため生じます。
主な原因には、以下のようなものがあります。

病気・怪我による要因
  • 糖尿病
  • 脊髄の損傷
手術による影響
  • 腰部交感神経切除術
  • 後腹膜リンパ節廓清術
  • 経尿道的前立腺切除術

治療には主に薬物療法が用いられ、内尿道口を締める作用のある薬や、神経の働きを改善する薬が処方されます。
薬物治療で改善が見られない場合でも、妊活中であれば膀胱内の精子を回収し、人工授精や体外受精を行えるでしょう。

性行為のときに射精できない【膣内射精障害】

膣内射精障害は「自慰行為では問題なく射精可能でも、性交時に射精ができない状態」を指します。
主な原因は、以下のような不適切な自慰行為の習慣にあります。

  • 布団や床に押しつける
  • 強い力で握る
  • 急激な動きで刺激する

このような習慣により、通常の性交では得られないような強い刺激に慣れてしまい、膣内での適度な刺激では射精が難しくなるのです。

また、性行為時の緊張や、性的感覚への集中力低下も原因の一つです。
習慣化してしまうと、改善まで時間がかかります。
自慰行為のやり方を変更しつつ焦らず改善を目指しましょう。

妊活中の場合は、自慰で採取した精液を医療用シリンジで膣内に注入する方法もあります。

脊髄の怪我や病気で射精できない【神経性射精障害】

神経性射精障害は、脊髄の損傷や神経の病気によって、射精機能が失われる状態を指します。
射精に至るまでには、複雑な神経回路があり、脊髄を損傷した場合でも射精障害を生じます。
神経性射精障害になる原因は以下のとおりです。

  • 第8胸椎より下位の脊髄損傷
  • 下部胸髄〜上部腰髄の神経障害
  • 末梢神経(下腹神経)由来の射精反射障害

陰茎から脊髄を通じて脳に伝わり、その信号が再び脊髄を通って性器に戻っていき、射精に至ります。経路のうちどこかで損傷を受けると、射精が困難になります。

ED・射精障害になりやすいオナニー(自慰行為)方法

性欲改善のための自慰行為は自然な行為ですが、方法によってはEDや射精障害の原因となります。
医療機関の調査によると、膣内射精障害の約47%が「誤った自慰行為」が原因とされています。
以下のような方法は、とくに避けるようにしてください。

  • 性器を強く握りすぎる
  • 必要以上に長時間我慢する
  • 不十分な勃起状態で射精する
  • 布団や床に性器を押しつける
  • 足を突っ張った状態で自慰行為をする
  • 過度に刺激的な性的コンテンツを使用する

これらの不適切な方法をつづけると、実際の性行為での射精が困難になったり、性器の血管や神経を傷つけたりするリスクもあります。
陰部を守るための正しい自慰行為のポイントは、以下のとおりです。

  • 手指は清潔に保つ
  • 優しい刺激を心がける
  • 適度な時間でおこなう
  • 十分な勃起を確認する

自慰行為のやり方を変更すれば、射精障害の改善が見込めるかもしれません。もしやり方がわからない方は、恥ずかしがらずに専門医へ相談してみましょう。

EDの3つの治療方法

EDには様々な治療法があり、症状や原因に応じて適切な方法が選択できます。
治療は以下のとおりです。

  • 生活習慣の改善
  • 薬物療法
  • その他の医療的治療

詳しく説明します。

生活習慣を見なおす

EDの改善には「生活習慣の改善」が効果的です。とくに運動療法や食事療法、禁煙は強く推奨されています。
運動や食事の例は以下のとおりです。

運動療法 ・ウォーキングや水泳など

・定期的な運動習慣の確立

・週3回、30分以上の有酸素運動

食事療法 ・カロリー制限

・適切な体重管理

・栄養バランスのよい食事

運動療法は、血流改善を目的として有酸素運動を中心とした定期的な運動をおこないます。
また、以下のような生活習慣は、EDの症状を悪化させる可能性が高いため、控えるようにしましょう。

喫煙 血管を収縮させ血流を悪化させる
過度な飲酒 性中枢が抑制される
運動不足 血行不良や肥満の原因となる

生活習慣の改善は若年で軽症の方ほど効果が高いと報告されており、禁煙に成功した方の約半数が、6ヶ月後に症状の改善が見られたという報告もあります。
気づいた段階から早めの対策を心がけてみてください。

ED治療薬を使用する

ED治療薬は、勃起機能を一時的に高める効果があり、即効性のある治療法として広く使用されています。
ED治療薬には主に以下の治療薬があります。

商品名 発現時間 特徴
バイアグラ(シルデナフィル) 約14分 ・最も使用実績が豊富

・食事の影響を受けやすい

レビトラ(バルデナフィル) 約10分 ・3剤の中で最も早く効果が発現
シアリス(タダラフィル) 約16分 ・長時間の持続性

これらの薬は医師の処方箋が必要であるため、使用前には必ず医師に相談し、自分に合った薬を選択してもらうことが重要です。
また、副作用や注意点についても十分な説明を受けて安全に使用しましょう。

ED治療薬以外の医療的な治療法

薬物療法が適さない場合や、より積極的な治療が必要な場合は、以下のような治療の選択肢があります。

治療法 内容 適応となる方
カウンセリング 心理的なアプローチによるストレス軽減 精神的な要因が強い方
バキュームデバイス 陰圧により物理的に勃起を促す 薬物療法が使えない方
注射療法 プロスタグランジンE1の直接注入 経口薬が効かない方
ホルモン療法 テストステロン値の改善を目指す ホルモン低下が原因の方
手術療法 血管再建や人工器具の移植など 保存的治療が無効な方

これらの治療法は、症状の程度や原因、生活スタイル、年齢などを考慮して選択します。
医師との十分な相談のもと、最適な治療法を見つけましょう。

射精障害の5つの治療方法

射精障害の治療には、以下の主に以下の5つの方法で改善を目指します。

  • 自慰行為方法を見なおす
  • マスターベーションエイドを使用する
  • 過激なアダルトコンテンツの視聴を控える
  • ED治療薬を使用する
  • カウンセリングを受ける

それぞれ見ていきましょう。

自慰行為方法を見なおす

多くの射精障害は、不適切な自慰行為が原因で起こる場合があります。
不適切な自慰行為になれてしまうと、実際の性行為での刺激ではもの足りずに射精できなくなるからです。
とくに、強い刺激や特殊な体勢での自慰行為は注意が必要です。

推奨される自慰行為の方法を、以下にまとめました。

方法 内容
弱い力でのスラスト運動 やさしく握り、低刺激で上下に動かす
スクイーズ法 射精しそうなタイミングで、裏スジ部分を軽く圧迫して射精を中断する
ストップ&スタート法

(セマンズ法)

定期的に刺激を中断する

射精感が来たら刺激を中断する

自慰行為を適切な方法にすると、多くの場合で症状の改善が見込めるでしょう。

マスターベーションエイドを使用する

射精障害の改善補助ツールとして、医療用のマスターベーションエイドの使用が推奨されます。
実際の膣内への挿入に近い刺激を再現できるように設計されており、射精障害の段階的な治療に役立ちます。
マスターベーションエイドの特徴は、以下のとおりです。

  • 適度な刺激が得られる構造
  • 衛生面への配慮
  • 医師の指導のもと使用可能

コンドームや適切なローションなどの潤滑剤の使用によって、より自然な刺激を得られます。
ただし、過度な使用は逆効果となる場合もあるため、医師の指導に従い、適切な使用を心がけましょう。

過激なアダルトコンテンツの視聴を控える

近年、インターネットの普及により、過激なアダルトコンテンツへのアクセスが容易になっています。非現実的なコンテンツに日常的に触れると、実際の性行為での興奮が得られにくくなります。
回避方法として、アダルトコンテンツの視聴を段階的に減らしていき、パートナーとの健全なコミュニケーションを増やしていきましょう。

ED・射精障害の治療薬を使用する

勃起不全を伴う射精障害の場合、ED治療薬が処方される場合があります。
これらの薬剤は血流を改善し、より自然な勃起と射精をサポートする効果があります。
使用される主なED治療薬はバイアグラやシアリスなどです。

また、早漏の場合はセロトニン系の抗うつ薬を使用すると、射精を遅らせる効果が期待できます。
セロトニン系の抗うつ薬は、性機能を抑制するはたらきがあるためです。
内服での治療や他の手段と併用しやすいのが特徴です。
医師と相談しつつさまざまな治療法を組み合わせつつ改善を目指しましょう。

カウンセリングを受ける

射精障害の多くには心理的な要因が関与しており、カウンセリングではこれらの心理的な問題に専門的なアプローチで解決を図ります。
カウンセリングでは以下の内容の相談が多いです。

  • パートナーとの関係
  • 性生活に対する不安
  • 日常のストレス

パートナーと一緒にカウンセリングを受けると、お互いの理解が深められ、より良好な性生活を築ける可能性があります。
専門家の支援を受けながら、心理的な課題を一つずつ解決していき、症状の改善につなげましょう。

EDと射精に関するよくある質問

射精障害やEDについて、多くの方が気になる疑問にお答えします。

  • ED治療薬によって射精障害になりますか?
  • 射精までにかかる時間はどれくらいですか?
  • 男性は何歳まで性行為(射精)ができますか?

それぞれ見ていきます。

ED治療薬によって射精障害になりますか?

ED治療薬自体が、射精障害を引き起こすのは稀です。

 

しかし、EDと射精障害の治療で使用される薬剤の中には、射精に影響を与えるものがあります。

 

とくに注意が必要な薬剤は、以下のとおりです。

  • 抗うつ薬
  • 前立腺肥大症の薬
  • 高血圧の薬

 

服薬をはじめてから、症状が気になる場合は自己判断で服用を中止せず、必ず医師に相談しましょう。

射精までにかかる時間はどれくらいですか?

射精までにかかる時間は、個人差が大きく、年齢によっても変化します。

 

国際的な調査では、平均的な射精までの時間は以下のとおりです。

 

  • 18~30歳:約6.5分
  • 51歳以上:約4.3分
  • 全体の中央値:約5.4分

 

これらの数値はあくまで平均であり、個人差が大きい点は理解しておきましょう。

男性は何歳まで性行為(射精)ができますか?

性行為(射精)は、年齢による一律の限界はありませんが、40〜50歳頃から性機能に変化があらわれはじめます。

 

精子の質や量が変化し、50歳代で睾丸が縮小、60歳以降は勃起力も低下傾向を示しやすいです。

 

50歳以降では、勃起能力や性への関心は比較的保たれますが、自発的な射精欲求は低下し、性行為でも必ずしも射精にこだわらなくなります。

まとめ

この記事では、EDと射精障害の違いや、改善方法について解説しました。
EDと射精障害は、決して特別な症状ではなく、多くの男性が経験する可能性があります。

【この記事のまとめ】

  • EDと射精障害は異なる症状
  • EDは勃起が十分に得られない、または維持できない状態
  • 射精障害は射精のタイミングや機能に問題がある状態
  • 射精障害の改善には、生活習慣の改善や適切な自慰行為への見直しが大切
  • 必要に応じてED薬やカウンセリングを活用も効果的

勃起と射精は男性にとってなくてはならない行為です。
ただ、多くの方が悩んでおり正しい解決策を知らないのが現状です。

当院ではEDに関する治療をおこなっています。
もし少しでも性生活への不安がある場合は、お気軽にご相談ください。