混合性EDとは|原因となる2つのEDの予防・治療法を解説

「セックスをしようとしても、すぐ萎えてしまう…」 「男としての機能低下を感じるけれど、これって正常?」 勃たない理由がわからないと、不安になりますよね。 ED(勃起不全)になる原因はさまざまであり、複数の要因が組みあわさっている場合もあります。 混合性EDは、心因性EDと器質性EDの二つが関係するEDです。 それぞれに異なる原因があるため、治療のためにはいろいろな方法を選択する必要があります。 この記事では、混合性EDの定義や原因、心因性EDと器質性EDの特徴、予防法、治療法について解説します。

この記事でわかること

  • 混合性EDとは何か
  • 混合性EDの原因
  • 心因性EDと器質性EDの見分け方
  • EDを発症している可能性(セルフチェック)
  • 混合性EDの予防法
  • 混合性EDの治療法

この記事によって混合性EDについて知り、予防や治療に役立てることができれば幸いです。

混合性EDは心因性EDと器質性EDの組み合わせ

EDは発症した原因によって、以下の4つに分類されます。

EDの種類 発症する原因
心因性ED 心理的な要因
器質性ED 血管や神経、ホルモン分泌の異常
混合性ED 心因性EDと器質性EDの複合
薬剤性ED 服用している薬

混合性EDは心因性EDと器質性EDが組み合わさったEDです。
それぞれの特徴について確認していきましょう。

心因性EDとは

心因性EDは、精神的な病気やパートナーとの関係性、性行為に対する緊張、プレッシャーなどが原因で起こるEDです。
ストレスは、心因性EDを発症するきっかけの一つです。
EDとストレスはお互いに影響を及ぼすため、発症したEDがストレスの原因となり、悪循環に陥る可能性があります。
そのため、EDの治療が悪循環の回避につながるケースは一定数あります。

また、心因性EDのおもな症状は、性行為に支障が出るものの夜間の勃起や朝立ちは通常どおりみられる点です。
20代で発症するEDのほとんどは心因性であり、30~40代のED患者のうち心因性EDが原因であるEDは9割を占めると言われています。

器質性EDとは

器質性EDは、何らかの要因によって血管の状態の悪化や神経の機能障害、男性ホルモンの分泌異常をきたして発症するEDです。
発症には健康状態や生活習慣が大きく関係しますが、病気の治療で手術を受けたり、交通事故に巻き込まれたりした場合に起こるケースもあります。

器質性EDは、年齢の上昇につれて発症のリスクが高まると言われています。
また、十分な勃起が得られなくなり、夜間の勃起や朝立ちがみられなくなるのも、器質性EDの特徴です。

混合性EDの5つの原因

混合性EDの原因は、単独で心因性EDや器質性EDを発症した場合よりも複雑です。
混合性EDを発症する原因は以下のとおりです。

  • 精神の病気【心因性ED】
  • 血管の病気【器質性ED】
  • 神経の病気【器質性ED】
  • 男性ホルモンの低下【器質性ED】
  • 日常生活や性生活のストレス【混合性ED】

それぞれの原因について解説していきます。

精神の病気【心因性ED】

精神の病気は、心因性EDをきたす原因となるため、当てはまる人は注意が必要です。
たとえば、以下のような要因は心因性EDをきたす可能性があります。

  • うつ病
  • 不安障害
  • 気分障害
  • 不安愁訴(なんとなく調子が悪いという感覚やあらゆる自覚症状があるものの、検査をしても原因がわからない状態)
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害)

うつ症状とEDの発症率は関係性があり、うつ症状がある人はEDを発症する確率が高いと報告されています。
性欲の減退のような症状がある場合は、うつ病を発症している可能性があるため注意が必要です。

また、PTSDを抱えている人は、過去のトラウマが原因でEDの発症率が高くなると言われています。

血管の病気【器質性ED】

血管の病気は、器質性EDをきたすリスクを高めると報告されています。
器質性EDをきたす血管の病気はおもに以下の4つです。

器質性EDをきたすおもな血管の病気 器質性EDとの関係
糖尿病 ・全体の35~90%がEDを発症する

・通常の人よりもEDを発症する年齢が若い

高血圧症、心血管疾患 ・器質性EDを発症しやすい

・高血圧症の患者ではEDが重症化しやすい

慢性腎臓病、下部尿路症状 ・年齢の上昇につれてEDを罹患する人が増加する

・慢性腎臓病患者の60代は、93%がEDを発症している

外傷(事故・会陰部の圧迫など) ・骨盤や下肢の骨折により勃起に関与する血管が損傷することが原因

・自転車の乗車による陰部の圧迫が原因で器質性EDをきたす場合もある

生活習慣病や事故による怪我のようなEDに関係がなさそうにみえる要因も、器質性EDをきたす原因となるため注意が必要です。

神経の病気【器質性ED】

神経の病気は、器質性EDをきたすリスクを高めると報告されています。
器質性EDをきたす神経の病気は、おもに以下の表の7つです。

発症の原因 EDの発症率
糖尿病 高血糖による神経細胞の変化、神経細胞の血流不足 35-90%
脳卒中 中枢神経の障害 48.3%
てんかん 中枢神経の障害 42.5%
脊髄損傷 中枢神経の障害 ・完全麻痺:80%

・不全麻痺:48%

多発性硬化症 中枢神経の変性 50~75%
パーキンソン病 中枢、末梢神経の機能低下 68.4%
骨盤内の臓器の手術 手術による神経の損傷 ・根治的前立腺摘除術:6~68%

・膀胱全摘除術:20~70%

・直腸がんの手術:5~88%

中枢神経疾患が原因の器質性EDでは、治療薬による薬剤性EDをきたす場合もあります。
糖尿病によるEDは、血管だけでなく神経の損傷が原因で発症するケースもあるため注意が必要です。

男性ホルモンの低下【器質性ED】

男性ホルモン(テストステロン)の低下は、器質性EDをきたすリスクを高めると考えられています。
テストステロンは筋肉量、性欲、勃起機能などの維持に重要なホルモンで、加齢とともに減少するのが一般的です。
テストステロンの分泌量が減少すると、勃起力の低下、性欲の低下、朝立ちの減少などがみられると報告されています。

また、テストステロンの低下によって性行為の機会が減ると勃起回数も減り、EDをさらに悪化させる可能性もあります。

日常生活や性生活のストレス【ED全般】

日常生活や性生活でのストレスは、心因性EDや器質性EDを引き起こす原因の一つです。
おもに次のような心理的・身体的ストレスは、EDの原因となる可能性があります。

  • パートナーとの不仲
  • 仕事や職場環境のストレス
  • 性行為のプレッシャーや緊張、焦り
  • 食生活や喫煙などの生活習慣の乱れ

仕事や日常生活で感じる強いストレス、乱れた生活習慣は、EDを引き起こす原因となります。
日頃の生活でストレスに感じている内容が、EDの原因となっているかもしれません。

【あなたの症状はED?】セルフチェック

自分がEDに当てはまるか気になる人は、次の表によるセルフチェックをおすすめします。
今までの6ヶ月間をふりかえって、次の5つの質問の回答が1~5のどれに当てはまるか確認してみてください。
断定はできませんが、選択肢の番号をすべて足し合わせた値が21点以下の場合は、EDである可能性があります。

1 2 3 4 5
1)勃起した状態を維持する自信はあったか 非常に自信がない 自信がない 中くらいの自信 自信がある 非常に自信がある
2)性的刺激による勃起で、挿入可能な硬さになったか ほとんどならない
まったくならない
たまになった(50%よりもかなり低い) ときどきなった(50%程度) しばしばなった(50%よりもかなり高い) ほぼいつも
いつも
3)性交時、挿入後に勃起を維持できたか ほとんどない

まったくない

たまにできた(50%よりもかなり低い) ときどきできた(50%程度) しばしばできた(50%よりもかなり高い) ほぼいつも

いつも

4)性交時、性交が終わるまで勃起を維持できたか きわめて難しかった とても難しかった 難しかった やや難しかった 難しくなかった
5)性交を試みたとき、性交に満足できたか ほとんどない

まったくない

たまに満足できた(50%よりもかなり低い) ときどき満足できた(50%程度) しばしば満足できた(50%よりもかなり高い) ほぼいつも

いつも

点数が低いほどEDの重症度が高く、7点以下の人は重症EDの可能性があります。

混合性EDの原因となる2つのEDの見分け方

混合性EDの原因となる心因性EDと器質性EDには、以下のような違いがあります。
確実にEDを分類できるものではありませんが、自分のEDの症状がどちらに当てはまるか確認してみてください。
以下のような症状に複数当てはまる場合は、心因性EDである可能性があります。

  • 朝立ちがある
  • 精神的な疾患がある
  • 血管や神経の病歴がない
  • 強い不安や悩みを抱えている
  • マスターベーションができる
  • パートナーとの関係性に変化があった
  • 性的虐待や性交渉に対するトラウマがある
  • 特定の相手とはじめて性行為をしたときからEDである

以下のような症状に複数当てはまる場合は、器質性EDである可能性があります。

  • 朝立ちがない
  • 喫煙の習慣がある
  • マスターベーションができない
  • 糖尿病や心血管疾患などの生活習慣病がある
  • 過去に骨盤骨折や下肢の骨折、脊髄損傷と診断されている
  • 多発性硬化症や脳卒中、てんかん、パーキンソン病と診断されている
  • 骨盤内の臓器や背骨、脊髄の手術、骨盤内の病気の治療で放射線治療を受けている

EDは珍しい病気ではありません。
日本にはEDの患者が1000万人いるという情報もあります。
セルフチェックの点数が低い、あるいは性行為に関する悩みがあるなどの人は、一度受診してみるとよいでしょう。

混合性EDの2つの予防法

混合性EDを予防するためには次の2つが有効です。

  • ストレスを抱えすぎない
  • 生活習慣を見なおす

それぞれ解説します。

ストレスを抱えすぎない

ストレスを抱えすぎないことは、EDの予防に有効な方法の一つです。
ただし、ストレスが避けられない場合は、以下の方法により適度なストレスを解消するのも効果的です。

  • 適度な運動や趣味で気分転換する
  • ストレスの内容を誰かに打ち明ける
  • 不安や心配に感じている内容をカウンセラーに相談する
  • ストレス解消のために、たばこやお酒に頼らない

目の前にあるストレスを無視せず、解消できるように心がけるとよいでしょう。

生活習慣を見直す

生活習慣の見直しは、EDの予防に有効です。
食生活や飲酒喫煙などの生活習慣が乱れると、混合性EDをきたす原因となるためです。
生活習慣を見直す際は、以下のような内容に取り組んでみましょう。

  • 禁煙に取り組む
  • 無理のない程度の運動を毎日つづける
  • 過度な食事制限や過食を避け、栄養バランスのよい食事をとる

無理をしてストレスがたまらないように心がけながら、生活習慣を見直してみてください。

混合性EDの3つの治療法

混合性EDの治療では、心因性EDと器質性EDの治療をあわせて行います。
混合性EDの治療は、おもに次の3つです。

  • 心理療法を受ける
  • 医療行為による治療
  • ED治療薬の服用

混合性EDは複合的な要因が関係しているため、根気づよく治療に取り組む必要があります。
それぞれみていきましょう。

心理療法を受ける

過度な不安感や心配、性行為に対するプレッシャーや緊張感は、心因性EDをきたす原因です。
心因性EDを解消するおもな心理療法は、次のとおりです。

  • 自立訓練法
  • 正しい性教育
  • カウンセリング
  • マスターベーション訓練
  • コミュニケーションと性的技術訓練

正しい性知識を学びEDが治る病気であると理解したり、パートナーとともに受診して性行為に対するお互いのすれ違いや悩みを共有したりすれば、ED改善の大きな助けになります。
パートナーとの関係が原因でEDをきたしている場合は、パートナーとの受診を検討してみてください。

医療行為による治療

器質性EDが大きく関与する混合性EDは、医療行為や手術で改善する可能性があります。
おもな治療法と概要、対象となる適応を簡単にまとめました。

治療法 概要 適応
陰茎海綿体注射(ICI治療) 陰茎の海綿体にプロスタグランジンE1を注射して、持続的な勃起を促進する ・ED治療薬の効果がなかった

・ED治療薬を使用できない

テストステロン補充療法 注射や服薬、塗り薬などでテストステロン(男性ホルモン)を補う ・テストステロンの血中濃度が低下している

(前立腺がん、夜間睡眠時無呼吸症候群、一部の前立腺肥大は適応外)

陰茎プロステ―シス移植手術 陰茎の海綿体の中にインプラントを挿入する ・他の治療で効果が得られなかった

・ED治療の最終手段

器質的EDの原因となる高血圧症や糖尿病などの改善は、ED症状の改善につながる場合が少なくありません。
EDをきたす病気がある場合は、ED治療と一緒に原因となる病気の治療に取り組みましょう。

ED治療薬の服用

ED治療薬は、陰茎の血流を促進して勃起を促す薬です。
ED治療薬を用いると、混合性EDの原因である心因性EDと器質性EDの両方に有効です。
心理療法や医療行為による治療を単独でおこなうよりも、ED治療薬の服用を併用するほうが、EDの改善効果が高いと報告されています。

ED治療薬はホスホジエステラーゼ5阻害薬という医薬品を指し、おもに次の3種類があります。

  • シルデナフィル(バイアグラ)
  • バルデナフィル(レビトラ)
  • タダラフィル(シアリス)

ネットや個人輸入などによるED治療薬の購入は、健康被害のリスクがあり、被害が出た場合も国の救済制度の対象外になるため注意が必要です。

また、ED治療薬は服用している医薬品によっては、一緒に併用ができないケースもあります。
服用中の薬がある人は、ED治療薬の処方を受けるクリニックに必ず伝えるようにしてください。

混合性EDに関するよくある質問

混合性EDに関して、よくある質問に回答します。

  • 混合性EDを引き起こす病気はありますか?
  • 病気以外に混合性EDを引き起こす原因はありますか?
  • 混合性EDは治りますか?

それぞれ見ていきましょう。

混合性EDを引き起こす病気はありますか?

混合性EDは心と身体の状態が悪化して起きるEDであり、精神の病気や血管の病気、神経の病気などが組み合わさった場合に混合性EDをきたします。

 

以下に混合性EDをきたす可能性がある代表的な病気を示しました。

  • 糖尿病
  • 高血圧症
  • うつ病

 

基礎疾患や治療中の病気がある場合は、確認しておきましょう。

病気以外に混合性EDを引き起こす原因はありますか?

混合性EDをきたす可能性がある原因には、おもに次のようなものがあります。

  • 加齢
  • ストレスがかかる環境
  • 性行為に対する過度な緊張
  • 喫煙習慣、暴飲暴食などの生活習慣の乱れ

 

生活習慣の見なおしや精神的なストレスの解消、パートナーとEDに関する知識を共有したり挿入以外の方法による親密関係を構築したりすることも、症状の改善に有効です。

混合性EDは治りますか?

混合性EDは治療できる病気です。

 

EDは治療できない病気であると認識している人も少なくありませんが、早い段階で発覚できればさまざまな治療の選択肢があります。

 

ただし、混合性EDの治療は心因性EDと器質性EDの2つが組み合わさっているため、治るまでに時間がかかる傾向があります。

 

専門家の判断をあおぎ、焦らずに治療に取り組みましょう。

 

まとめ

この記事では、混合性EDの定義や原因、予防法、治療法について解説しました。

【この記事のまとめ】

  • 混合性EDは心因性EDと器質性EDが組み合わさったもの
  • 混合性EDは心や身体の病気、ストレスや性行為へのプレッシャーなどが原因
  • 混合性EDの予防には「ストレスの解消」「生活習慣の見なおし」が効果的
  • 混合性EDの治療には「心理療法」「医療行為」「ED治療薬の服用」がある
  • ED治療薬の服用は、「心理療法」「医療行為」と併用するとED治療の高い効果が期待できる
  • 混合性EDは治療できる病気である

混合性EDの原因となるおもな病気にはうつ病やPTSD、糖尿病、高血圧症などがあり、日常生活や性行為で感じるストレスや生活習慣の乱れが関係しています。

EDは日本に1000万人いると考えられている、珍しくない病気です。
悩みをひとりで抱え込まず、不安な場合はお気軽に当院までご相談ください。