EDと早漏の関係性とは|早漏の原因と予防・治療法を解説

「すぐに萎えてしまって、十分にセックスできない…」「射精するまでの時間が早くて、セックスを楽しめない…」 いいムードでセックスが始まっても、EDや早漏になると満足に楽しむことは難しいですよね。 ED(勃起不全)や早漏の発症には、さまざまな要素が関係しています。 悪化するにつれてEDや早漏の治療は難しくなる場合があるため、早めの治療が必要です。 また、EDと早漏はお互いに影響を及ぼし合い、EDが早漏の原因となったり早漏がEDの原因となったりする場合もあります。 この記事では、EDと早漏の定義や関係性、予防法、治療法、使用される治療薬の詳細について解説します。

この記事でわかること

  • EDと早漏の関係性
  • EDと早漏の原因
  • EDと早漏の予防法
  • EDと早漏の治療法
  • ED治療薬と早漏治療薬の特徴

この記事によってEDや早漏について知り、症状の解消や予防に役立てば幸いです。

ED(勃起不全)と早漏は合併しやすい疾患

EDと早漏に直接的な因果関係はありません。

ただし、EDは「勃起」に関して、早漏は「射精」と異なる種類の性機能障害のため、合併する可能性があります。

早漏はED患者の約三人に一人の割合でみられるという報告もあり、両者の合併に注意が必要です。

EDと早漏はなぜ関係するのか

EDと早漏は、次のような理由で合併をきたしたケースが報告されています。

  • 早漏による自信の喪失がEDの原因になった
  • 加齢によるED症状が性行為中の焦りにつながり、早漏をきたした
  • 早漏による性的不満で、性行為を控えるようになりEDにつながった
  • ED患者が中折れをしないように過度な刺激を与え続け、早漏になった
  • 早漏を治すために、誤った方法で射精しないように興奮を抑え、EDになった

早漏を気にして興奮しないようにするとEDにつながる可能性があり、EDの人が勃起させようとして強い刺激を与えると早漏の要因となります。

EDと早漏の特徴

EDや早漏をひとことで説明すると、それぞれ次のようになります。

  • ED:不十分な勃起で満足な性行為ができない状態
  • 早漏:わずかな性的刺激で射精してしまう状態

EDや早漏とは具体的にどのような状態なのか、それぞれの定義や原因を確認しておきましょう。

EDとは|不十分な勃起で満足な性行為ができない状態

EDは十分な勃起が得られず、満足な性交がおこなえない状態を指します。

おもなEDの症状は次のとおりです。

  • 性行為中に中折れする
  • 興奮していても勃起しない
  • 陰茎が硬くならず挿入できない
  • 日によって性行為できる場合とできない場合がある

日本のED患者数はおよそ1,400万人、EDの有病率は30.9%と推測されており、珍しくない病気です。

また、EDは発症の原因によって次の4つに分類されます。

EDの種類 おもな原因 それぞれのEDの特徴
心因性ED ・精神疾患(うつ病、PTSDなど)

・日常生活のストレス

・性行為の緊張、プレッシャー

・性行為でEDになるが、朝立ちはある

・マスターベーションはできる

器質性ED ・血管状態の悪化(糖尿病や高血圧症などの病気)

・神経の機能障害(病気や事故、骨盤部の手術など)

・男性ホルモンの分泌異常

・食生活の乱れや喫煙習慣がある

・血管や神経機能を悪化させる病気がある

・朝立ちがない

混合性ED ・心因性EDと器質性EDの組み合わせ
薬剤性ED ・特定の薬剤の使用

(降圧薬、利尿薬、一部の抗うつ薬など)

・薬剤の変更や中止によって改善される場合がある

EDは基礎疾患の有無にかかわらず、誰にでも発症する可能性があります。

なお、薬剤性EDを疑う場合も、自己判断で薬剤の減量や中止をすると体調が悪化するリスクがあり危険です。

気になる点がある場合は自分の陰茎の状態を医師に相談するようにしてください。

早漏とは|わずかな性的刺激で射精してしまう状態

早漏は、わずかな性的刺激で射精してしまう状態を指します。

タイミングを自分でコントロールできず、本人の意志よりも早い段階で射精するのが特徴です。

次のようなケースに当てはまる場合は、早漏かもしれません。

  • 挿入前や挿入してすぐに射精してしまう
  • 射精するタイミングが早すぎて欲求不満である
  • わずかな性的刺激で射精してしまうときがある

また、早漏は次の4つに分類される射精障害の一つでもあります。

分類 特徴
膣内射精障害 性交時の膣内で射精できない
早漏 射精するまでの時間が短い
遅漏 射精するまでの時間が長い
逆行性射精 精液が膀胱内に逆流し、陰茎から出ない

早漏は性欲の低下やオルガズム障害などの女性の性機能障害の原因となるおそれがあります。

また、早漏の放置によって生じる問題は以下のとおりです。

  • 本人の自尊心が低下する
  • 性行為への不安が生じる
  • パートナーにストレスを与える
  • パートナーとの関係性が悪化する

早漏を治療すれば、性行為への自信が回復し、パートナーと円滑な関係を築けるでしょう。

なお、早漏は、発症した時期によって先天性早漏と後天性早漏に大別されます。

後天性早漏は発症の原因によって心因性早漏、過敏性早漏、衰弱性早漏の3つに分類されます。

早漏をきたすおもな要素は次の表のとおりです。

早漏の種類 早漏のおもな要因
先天性早漏 ・セロトニン受容体の機能障害

・遺伝

後天性早漏 心因性早漏 ・不安

・性交の頻度など

過敏性早漏 ・陰茎の過敏さ

・包茎

衰弱性早漏 ・射精をコントロールする筋力の低下

・内分泌異常(甲状腺機能亢進症、前立腺炎)など

早漏のおもな原因は、心因性早漏であると報告されています。

ただし、実際は複数の要因が組み合わさって発症している場合が多く、原因の特定が難しいケースもあります。

自分の考えだけで判断せず、医療機関で正確な診断を受けましょう。

ED治療薬で早漏改善が見込める

ED治療薬の使用は、早漏の症状改善が期待できます。

海外の研究では、ED症状のない先天性早漏の患者がED治療薬を使用して、次のような効果があったと報告されています。

  • 性的満足度の改善
  • 挿入から射精までの時間が約5倍に延長
  • 射精後の興奮が冷めた状態(賢者タイム)の短縮

先天性早漏の男性のうち、全体の8~9割が60秒以内に射精するという研究結果もあります。

早漏が原因で満足な性行為ができず悩んでいる場合は、ED治療薬の使用を検討するとよいでしょう。

EDと早漏の予防法・対処法

EDや早漏は、適切な予防法や対処法により症状の改善が期待できます。

おもな予防法・対処法は次のとおりです。

  • 性行為を工夫する【早漏】
  • 身体に悪影響をもたらす生活習慣をやめる【ED】
  • ストレスを適度に解消する【EDと早漏の両方】
  • パートナーと性行為についてよく話し合う【EDと早漏の両方】

自らのEDや早漏の症状・状況を考慮して、実践できる方法があるか確認してみてください。

性行為を工夫する【早漏】

性行為の工夫は、早漏を予防したり、お互いの欲求不満を解消したりする方法として有効です。

おもに次のような方法があります。

  • 性行為で使用するコンドームを厚みのあるものに変更する
  • 前戯にかける時間を増やし、パートナーのオルガズムを高める
  • 射精しそうになったら腰の動きを止め、射精したくなる気持ちを抑える
  • 性交前にマスターベーションをして、挿入に感じにくい状態にしておく(とくに若い男性の早漏に有効)

性行為の工夫は、すぐにでも始められる予防法です。早漏気味で気になる人は取り組んでみてください。

身体に悪影響をもたらす生活習慣をやめる【ED】

生活習慣の乱れは、EDをきたしたり症状を悪化させたりする原因の一つです。

EDが気になる方は、不健康な生活習慣をやめ、健康的な生活習慣への切り替えを心がけてみましょう。

おもに次のような生活習慣の見なおしは、EDの予防・改善に効果的です。

  • たばこや過度な飲酒を避ける
  • 栄養バランスのよい食事をとる
  • 肥満症の改善のためにダイエットに取り組み、適正体重まで減量する
  • EDをきたすリスクが高い病気(糖尿病や高血圧など)を治療する

ストレスを適度に解消する【EDと早漏の両方】

心の不安定な状態は、年齢に関係なくEDや早漏をきたすきっかけとなる場合があります。

ストレス解消による精神的な負荷の軽減は、EDや早漏の予防に有効です。

手軽にできるストレス解消には、次のような方法がおすすめです。

  • ストレスをひとりで抱えずに誰かに打ち明ける
  • 気分転換のために趣味や適度な運動に取り組む
  • ストレスを解消する手段として暴飲暴食や喫煙に頼らない

仕事や私生活でストレスを感じる機会が多い方は、ストレス解消に取り組んでみてください。

パートナーと性行為についてよく話し合う【ED と早漏の両方】

性行為の悩みに関するパートナーとの話し合いは、EDや早漏の予防・改善に有効な場合があります。

話し合いではお互いの性行為に対する不満や悩み、要望を共有しましょう。

必ずしも相手の要望のとおりにする必要はありません。

無理な努力は、かえって症状の悪化をきたす可能性があります。まずはお互いの気持ちを通わせるところから始めてみましょう。

話し合うには恥ずかしい内容かもしれませんが、パートナーとの関係性で悩んでいる方はぜひ一度、話し合ってみてください。

EDの治療法3選

ED治療で選択される治療法は、おもに次の3つです。

  • 心理療法【心因性ED、混合性ED】
  • 医療行為による治療【器質性ED、混合性ED】
  • ED治療薬【心因性ED、器質性ED、混合性ED】

それぞれ確認しておきましょう。

心理療法【心因性ED、混合性ED】

心理療法は、心因性EDや混合性EDにおこなわれる治療法です。

心理療法には、おもに次のような内容の治療があります。

  • 精神分析療法
  • カウンセリング
  • 性知識についての教育
  • EDに関する認識の改善

EDの原因や患者の状況をもとに、適切な治療法が選択されます。

医療行為による治療【器質性ED、混合性ED】

医療行為による治療は、器質性EDや混合性EDに有効な治療法です。

代表的な治療法は、次のとおりです。

  • 陰茎海綿体内自己注射療法
  • テストステロン補充療法
  • 陰茎プロステ―シス移植手術

治療の効果や本人の要望を考慮して、適切な治療法が選択されます。

また、糖尿病や高血圧症などに由来する器質性EDでは、基礎疾患の治療をおこなう場合もあります。

ED治療薬【心因性ED、器質性ED、混合性ED】

PDE5阻害薬(ホスホジエステラーゼ阻害薬)というED治療薬は、ED症状の改善に有効です。

現在日本で購入できるおもなPDE5阻害薬には、次の3つがあります。

  • バイアグラ(シルデナフィル)
  • レビトラジェネリック(バルデナフィル)
  • シアリス(タダラフィル)

ED治療薬は、心因性EDや器質性ED、混合性EDの治療に有効です。

早漏のおもな4つの治療法

早漏の治療法は、おもに次の4つです。

  • 行動療法
  • 塗り薬(局所麻酔薬)の使用
  • 薬物療法(早漏治療薬)の使用
  • 包茎手術

早漏の原因や症状の重さに応じて適切な治療法が選択されます。

行動療法

行動療法は、性行為やマスターベーションの際におこなわれる方法で、おもに「ストップアンドスタート法」「スクイーズ法」が選択されます。

行動療法の始め方とポイントは次のとおりです。

  • 陰茎に刺激を与え、射精をしたくなったら陰茎への刺激を中止する
  • 射精したい感覚が収まったら再度刺激を与え、刺激を与える動作を4回繰り返す
  • 刺激の与え方は毎回変更し(手から口、ローションを使った手、膣に変更する)、4回目に射精する
ポイント
ストップ&スタート法 ・射精しそうになったら動きを止める
スクイーズ法 ・射精しそうになったら痛みを感じない程度に陰茎を3~4秒握りしめる

・4回目の刺激では、女性上位の体位で挿入して身体を動かさず、射精しそうになったら横臥位や好みの体位に移行する

行動療法は、過敏性早漏の症状改善にとくに有効です。

塗り薬(局所麻酔薬)の使用

局所麻酔薬を利用した一部の塗り薬は、早漏の症状改善に効果があります。

早漏に利用される局所麻酔薬は「リドカイン」という成分を含む薬剤です。

リドカインは陰茎の感覚を鈍らせて、射精するまでにかかる時間の延長をもたらします。

安価で効果が現れやすいため、試しやすい治療法と言えるでしょう。

しかし、麻酔薬に触れると陰茎や亀頭、パートナーの膣や口の中にしびれの症状が現れる可能性もあります。

性行為の際は、陰茎に付着した薬剤をよく洗い流すかコンドームをつけましょう。

薬物療法(早漏治療薬)の使用

早漏には、ダポキセチンという成分を含む「プリリジー」「ポゼット」などの早漏治療薬も有効です。

ダポキセチンは、うつ病の治療に使われる「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」という成分で、射精を遅らせる作用があります。

射精を遅らせる作用は、本来は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の副作用で、挿入してから射精するまでの時間が2.6〜13.2倍に増加すると報告されています。

プリリジーやポゼットは本来の薬の副作用を利用し、早漏治療薬として使用しているのです。

プリリジーの血中濃度は使用から1~2時間後に最大となるため、性行為の1〜3時間前に服用するのが基本的な服用方法です。

ただし、医師から指導された服用方法がある場合は、指示に従いましょう。

ポゼットはプリリジーのジェネリック医薬品です。

ダポキセチンを含むため、プリリジーと同じく早漏の症状改善が期待できます。治療にかかる費用を抑えたい人は、ポゼットの使用がおすすめです。

ただし、早漏治療薬は、人によっては使用できなかったり副作用があらわれたりする場合があります。

薬物療法による早漏治療を希望する方は、一度クリニックに相談してみてください。

包茎手術

包皮(陰茎をおおう皮膚)を切除する「包茎手術」には、過敏性早漏の改善が期待できます。

手術により常に亀頭が露出するようになれば、刺激に慣れ、早漏の改善につながるからです。

包茎手術にはおもに次のような治療法があります。

  • 環状切開法
  • 亀頭直下法
  • 背面切開法
  • 小帯形成法

手術後の陰茎のデザインや治療にかかる費用、手術後のアフターケアの手厚さなどを考慮して選択するとよいでしょう。

EDと早漏に関するよくある質問

EDや早漏に関して、よくある質問に回答します。

  • 早漏は自力で治せますか?
  • プリリジーはどこで購入できますか?
  • 包茎の治療は早漏の改善に効果がありますか?
  • プリリジーを使用すると、どのくらい効果が持続しますか?
  • ED治療薬や早漏治療薬の副作用はどのようなものがありますか?副作用が出たらどうしたらよいですか?

それぞれ見ていきます。

早漏は自力で治せますか?

早漏は症状によっては、自力で改善できる場合があります。

 

挿入してから射精するまでの時間が早いと感じている場合は、行動療法(ストップ&スタート法、スクイーズ法)によるトレーニングをはじめてみましょう。

 

ただし、早漏の状態は、心の状態の変化によって影響を受けやすくなります。

 

ストレスが原因で早漏が悪化したり、早漏が原因でEDを発症したりするケースも少なくありません。

 

悩んでいるときは自分ひとりで抱え込まず、医師に相談してみてください。

プリリジーはどこで購入できますか?

プリリジーは日本では承認されていないため、購入ができません。

 

ただし、医師が判断や責任をもって個人輸入した場合には、使用が認められています。

 

個人輸入によるプリリジーの購入は、成分が基準を満たしていなかったり、偽造品による健康への悪影響をきたしたりする危険性があります。

 

正規品を使用するためにも自らによる個人輸入は控え、医師に処方された薬剤を使用するようにしましょう。

プリリジーを使用すると、どのくらい効果が持続しますか?

プリリジーは使用してから1〜2時間後に血中濃度が最大となり、その後1.5時間経つと半分の濃度まで低下します。

 

薬剤の効果には個人差がありますが、プリリジーを使う際は性行為の1~3時間前に使用するのが一般的な飲み方です。

 

また、プリリジーは使用してから24時間後には最大血中濃度の5%未満に低下すると言われています。

ED治療薬や早漏治療薬の副作用はどのようなものがありますか?

ED治療薬と早漏治療薬の使用で現れやすい副作用は次のとおりです。

 

現れやすい副作用
バイアグラ ・血管拡張

・頭痛など

シアリス ・頭痛

・血管拡張
・消化不良など

レビトラ ・血管拡張・頭痛

・鼻づまり(鼻閉)

・動悸など

プリリジー ・めまい

・頭痛

・イライラ

・発汗

・腹痛など

 

薬剤を使用する際は、十分な健康観察をしましょう。

 

また、上に記載した以外にも、急激な体調不良や症状の悪化がみられた場合は、医療機関を受診してください。

まとめ

この記事では、EDと早漏の定義や関係性、予防法、治療法、使用される治療薬の詳細について解説しました。

【この記事のまとめ】

  • EDと早漏は合併しやすく、早漏患者の三人に一人はEDを合併している
  • さまざまな要因によりEDや早漏を発症する
  • ED治療薬は早漏の改善効果が期待できる
  • EDと早漏の予防には「性行為の工夫」「生活習慣の改善」「適度なストレスの解消」「性行為に関するパートナーとの話し合い」が効果的
  • EDの治療には「心理療法」「医療行為による治療」「ED治療薬」が有効
  • 早漏の治療には「行動療法」「塗り薬(局所麻酔薬)」「薬物療法(早漏治療薬)」「包茎手術」が有効

EDと早漏は正反対の状態であるように見えますが、いずれかが原因で合併する場合があります。

EDや早漏は治療できる病気です。

できる限り早い段階で治療を受け、EDと早漏の症状改善に取り組めば、悪化の予防が可能です。

EDや早漏に思い当たる点がある人は、お気軽に当院までご相談ください。