自毛植毛と人工植毛ってなに?デメリットや費用相場、失敗しないコツを解説

植毛
植毛とは、薄毛部分の頭皮に髪の毛を移植する手術です。移植する髪の種類によって「自毛植毛」と「人工植毛」の2つのタイプがあります。しかし、植毛が薄毛に効果的だと知っていても、実際の効果や費用面、手術のリスクといった不安が多く、なかなか治療に踏み出せないものです。この記事では、植毛の効果やデメリット、費用相場について解説します。

【この記事でわかること】

  • 自毛植毛の概要
  • 人工植毛の概要
  • 植毛にかかる費用
  • 植毛で失敗しないための4つのポイント
  • 植毛以外の3つの薄毛治療法

この記事を読んで、自分に合った治療法が見つかり、ビジネスやプライベートを充実させられれば幸いです。

自毛植毛は自分の髪の毛を移植する手術

自毛植毛とは、薄毛部分に「自分の髪の毛」を皮膚ごと移植する手術です。

AGA(男性型脱毛症)の影響を受けにくい後頭部や側頭部の頭皮を切り取り、頭頂部やおでこの生え際などに頭皮ごと髪の毛を植え付けます。

日本皮膚科学会でも効果が認められており、AGAに対して「おこなうようすすめる:エビデンスレベルB」とされている治療法です。

自毛植毛のおもな種類と特徴について、それぞれ以下の表にまとめました。

種類 概要 メリット デメリット
FUT法 一定幅の頭皮を切り取り、薄毛部分に移植する方法 ・手術時間が短い

・毛根を傷つけにくく、生着率が高い

・頭皮を大きく切開するので傷が目立ちやすい
FUE法 髪の毛を毛根ごと1本ずつくり抜き、薄毛部分に移植する方法 ・痛みが少ない

・傷跡が目立ちにくい

・手術時間が長い

・費用が高額になりやすい

ニードル法

(単一植毛、CHOI法)

髪の毛を毛根ごと採取し、細い植毛針で薄毛部分への「穴あけ」と「植え込み」を同時におこなう方法 ・傷跡が残りにくい

・髪の毛の角度を調整できるので自然な仕上がりになりやすい

・手術時間が長い

・費用が高額になりやすい

自毛植毛は、「人工植毛」より健康被害が少ない治療法です。

そのため、病院やクリニックでは自毛植毛をおこなうケースがほとんどです。

自毛植毛の4つのメリット

自毛植毛のメリットは、以下の4つです。

  • 拒絶反応が起こりにくい
  • AGAの改善が期待できる
  • 通院の手間がかからない
  • 自然な仕上がりになりやすい

それぞれ見ていきましょう。

拒絶反応が起こりにくい

自毛植毛では、移植する頭皮や髪の毛が「自分のもの」なので、頭皮への負担を最小限にできます。

移植した部分で拒絶反応が起こりにくく、頭皮の痛みやかゆみ、脱毛といった後遺症が出にくいです。

また、FUE法やニードル法など、頭皮の切開を最小限にする治療法も選べます。

そのため、長期間飲みつづける「AGA治療薬」と比べて、自毛植毛は副作用や後遺症が一時的な期間に限定されやすいでしょう。

ただし、体質や薄毛の状態によって個人差があるので、自毛植毛を受けるときは、他の治療の選択肢について医師と相談してみてください。

AGAの改善が期待できる

自毛植毛では、AGAの改善に向けて高い効果が期待できます。

薄毛になりにくい「後頭部」や「側頭部」の髪の毛を移植するからです。

そもそも、前頭部や頭頂部には、薄毛の原因となる酵素「5α-リダクターゼII型」が多く存在しています。

一方、後頭部や側頭部は5α-リダクターゼII型が少ないといわれており、他の部分より薄毛になりにくいです。

移植された髪の毛は、移植先でも元の性質(薄毛になりにくい特徴)を維持するので、自毛植毛をすればAGAを改善できる可能性があります。

通院の手間がかからない

自毛植毛で毛根を移植すれば自然に髪が生え変わるので、通院によるメンテナンスは不要です。

一方、AGA治療薬でも薄毛の改善が見込めますが、途中でやめると効果がなくなると言われています。

また、人工植毛は定期的に抜けた分を補う治療が必要で、効果を維持するためには通院に手間がかかります。

人工植毛で本来のヘアサイクルを取り戻せば、仕事や家庭の事情で忙しいときでも理想の髪型を維持できるでしょう。

自然な仕上がりになりやすい

自毛植毛では「自分の髪の毛」を移植するので、もともとあった髪の毛との違和感がほとんどありません。

移植部分の髪の毛は太さや質感(直毛、縮毛など)が他の部分と同じになるので、自然な仕上がりになりやすいでしょう。

術後の炎症が落ち着けば、シャンプーやヘアカラー、パーマなども気兼ねなく楽しめるようになります。

自毛植毛の4つのデメリット

自毛植毛のデメリットとして、以下の4つが挙げられます。

  • 費用が高額になりやすい
  • 効果が出るまで時間がかかる
  • 痛みや傷が残る可能性がある
  • 正着しないと効果が持続しない

デメリットを知っておけば、自毛植毛が自分にあった治療法なのか冷静に判断できるでしょう。

費用が高額になりやすい

自毛植毛には公的医療保険が適用されないので、費用が高額になりやすいです。

自毛植毛はクリニック独自の価格が適用される「自由診療」で実施されます。

手術時間の長さやリスク調整、理想の仕上がりによって費用は大きく変動し、約50〜300万円程度の手術費用がかかります。

効果が出るまで時間がかかる

自毛植毛の効果は、実感するまでに数ヶ月〜数年程度の時間がかかります。

公益社団法人日本美容医療協会の医師「今川賢一郎」によると、自毛植毛をしたあとは以下の経過を追って発毛効果が現れると説明しています。

  1. 移植した髪の毛はしばらく伸びたように見える
  2. 植毛から1〜2ヶ月程度で移植部の髪が抜け、休止期(毛が生えない時期)に入る
  3. 約100日後に発毛が始まり、植毛から約6ヶ月で髪の毛が生える
  4. 植毛から1年半までには、移植元の部分と同じ質の髪の毛が整う

植毛の効果を判定できるのは、手術から約10ヶ月が経過した時期です。

なかなか効果を実感できないと、自毛植毛に不満を感じるかもしれません。

痛みや傷が残る可能性がある

自毛植毛では、薄毛ではない「後頭部」や「側頭部」から、ドナーとなる頭皮を切り取ります。

切り取った頭皮は薄毛部分に移植されるので、ドナーを切り取った部分と移植された部分に傷跡が残る可能性があります。

また、頭皮に出血や炎症が起これば、手術が終わって1週間程度は痛みが続くでしょう。

症状がつらいときは、痛み止めを飲んだり、病院での処置を受けたりといった対応が必要になります。

正着しないと効果が持続しない

自分の髪の毛を移植しても、移植先で細胞が正着(細胞が活動をはじめる)しないと髪が抜け落ちます。

日本皮膚科学会によると、自毛植毛の正着率は82.5%以上と言われており、薄毛に対して高い効果が期待できます。

それでも、なかには正着せずに発毛効果が得られない可能性もあるので、植毛のリスクについて、手術前に医師から十分に説明を受けるようにしましょう。

人工植毛は人工の髪の毛を移植する手術

人工植毛は、ポリエステルやナイロンなどで作られた「人工の髪の毛」を薄毛部分に移植する手術です。

自分の髪の毛を使わないことで、何本でも移植ができます。

しかし、人工毛は自分の細胞で作られた髪の毛ではないため、頭皮に拒絶反応を起こしやすいです。

日本皮膚科学会は「おこなうべきではない」としており、人工植毛が日本で行われるケースはほとんどありません。

人工植毛のメリット

人工植毛には、以下のようなメリットがあります。

  • 自毛植毛より費用が安い
  • 薄毛の改善効果をすぐに感じやすい
  • 皮膚を切開しないので治療の痛みを感じにくい
  • 希望の本数を移植して理想の髪型を実現しやすい

自分の髪を移植する自毛植毛は、本数に限りがあります。

一方、人工植毛は好きなだけ人工毛を移植できるので、自分の理想のヘアスタイルをすぐに実現できるでしょう。

人工植毛のデメリット

人工植毛のデメリットは、以下のとおりです。

  • 炎症、脱毛などの拒絶反応が起きやすい
  • 色や質などの仕上がりが不自然になりやすい
  • 定期的なメンテナンスで通院の手間がかかる
  • 抜けた部分の補正を繰り返すとかえって費用が高くなる

一番の問題点は、頭皮に拒絶反応を起こしやすい点です。

過去には、炎症による頭皮の皮膚障害がいくつも報告されています。

費用の安さや効果の早さといった良さはありますが、身体への負担が大きいので、人工植毛での治療はおすすめできません。

植毛にかかる費用

人工植毛と自毛植毛にかかる費用相場は、それぞれ以下のとおりです。

  • 自毛植毛:約50万〜300万円
  • 人工植毛:約30万~100万円

植毛の費用は「施術料金+1グラフト(髪の毛2〜3本相当)あたりの料金+移植する数」によって異なります。

移植する量によって変動が大きいので、参考までに薄毛のタイプ別の費用相場をまとめました。

薄毛のタイプ 人工植毛 自毛植毛
おでこの生え際(浅め) 約40万~85万円

(400~800グラフト)

約25万〜40万円

(1,000〜1,500本)

おでこの生え際(深め) 約100万~170万円

(800~1,500グラフト)

約50万〜80万円

(2,000〜3,000本)

おでこ〜つむじ(頭頂部) 約60万〜120万円

(500~1,000グラフト)

約30万〜65万円

(1,000〜2,500本)

つむじ(頭頂部) 約120万~280万円

(500〜1,000グラフト)

約8万〜25万円

(300〜1,000本)

事故や病気、怪我などの一部のケースを除き、植毛には公的医療保険が適用されません。

費用はすべて自己負担なので、上記のように高額になりやすいです。

術前カウンセリングで医師と治療の効果や費用面について相談し、場合によっては複数のクリニックを受診して納得のいく治療法を検討してみてください。

植毛で失敗しないための4つのポイント

植毛で失敗しないように、以下の4つのポイントをおさえて治療を検討しましょう。

  • 期待できる効果を手術前に理解しておく
  • 信頼できる医師に担当してもらう
  • 正しいヘアケアを心がける
  • 生活習慣を見直す

それぞれ詳しく解説します。

期待できる効果を手術前に理解しておく

植毛で自分の薄毛がどれくらい改善できるか、手術前のカウンセリングで医師に確認しましょう。

手術結果に納得できず、金銭面や見た目などであとからトラブルになる可能性があるからです。

手術前のカウンセリングでは、最低でも以下の項目について医師と相談しましょう。

  • 最終的な仕上がり
  • 効果が出るまでの期間
  • 傷跡や痛みなどが残る可能性

植毛は費用が高額になりやすいので、費用に見合った効果が期待できるのか、担当の医師に確認してみてください。

信頼できる医師に担当してもらう

植毛の手術結果は、医師の技量によっても左右されます。

知識や経験の少ない医師が担当すると、術後の痛みが長引いたり、後頭部や側頭部に傷跡が残ったりする可能性があります。

植毛を受けるクリニックを選ぶときは、以下の項目をチェックしてみてください。

  • 手術実績の多い医師が在籍しているか
  • 事前のカウンセリングで対応が丁寧か
  • インターネットでの口コミや評判はどうか
  • 植毛のリスクやデメリットについても説明があるか

実績のある医師が担当すれば、理想の仕上がりになりやすいので、仕事やプライベートでも印象のよい髪型を実現できるでしょう。

正しいヘアケアを心がける

正しいヘアケアを心がければ、移植した髪の毛を長く維持できます。

髪の毛が成長しやすい頭皮環境を整えられるからです。

具体的には、以下のようなヘアケアを心がけるとよいでしょう。

  • ぬるま湯で髪を洗う
  • ドライヤーで十分に髪を乾かす
  • シャンプーは泡立ててから髪を洗う
  • 適切な洗浄力の薬用シャンプーを使う

ただし、手術後は傷口まわりに炎症や出血が生じるので、数日程度は髪を洗うのにシャンプーを使えない場合があります。

手術後にどのようなヘアケアをすべきかについても、医師と相談してみてください。

生活習慣を見直す

乱れた生活習慣をつづけていると、植毛の効果が得られにくいです。

薄毛で悩んでいるときは、手術を受ける前から生活習慣を見直しましょう。

具体的には、以下のような生活習慣が薄毛につながると考えられています。

  • 睡眠不足
  • 過度なストレス
  • 過度な飲酒や喫煙
  • 栄養バランスの偏った食事

自毛植毛では発毛効果が続くので、生活習慣を見直せば手術を受けたあとに理想の髪型を維持できるでしょう。

植毛以外の3つの薄毛治療法

植毛以外の薄毛治療法には、以下の3種類があります。

  • AGA治療薬
  • 発毛レーザー
  • 頭皮への薬物注入

治療の選択肢を多く知っていれば、自分のライフスタイルにあった方法で無理なく薄毛の改善に取り組めるでしょう。

AGA治療薬

AGA治療薬は、男性の脱毛症を改善させる薬です。

日本皮膚科学会にも効果が認められている治療法で、おもに以下の4種類があります。

治療薬 作用
プロペシア(フィナステリド) ・発毛を促す

・抜け毛を予防する

ザガーロ(デュタステリド) ・発毛を促す

・抜け毛を予防する

・髪の毛を太くする

ミノキシジル ・発毛を促す
ケトコナゾール ・抜け毛を予防する

・頭皮の炎症を改善する

AGA治療薬は薄毛に対して高い効果が見込める薬ですが、なかには抜け毛や性機能障害(ED、性欲減退)などの副作用が出るケースもあります。

薄毛にコンプレックスを感じているときは、AGA治療薬が自分にとって最適な選択肢なのか、一度病院やクリニックで相談してみてください。

発毛レーザー

発毛レーザーは、頭皮の毛根をレーザーで刺激して発毛を促す治療法です。

メスを使わないので頭に傷あとが残りにくく、周囲の人にも気付かれずに薄毛治療ができるでしょう。

また、頭皮に直接レーザーを当てるので、飲むタイプのAGA治療薬で報告されている「肝機能障害」や「性欲減退」といった副作用のリスクが少ないと言われています。

治療の費用相場は約5万〜25万円と、植毛より費用を抑えて薄毛を改善できる可能性があります。

しかし、発毛レーザーは比較的新しい治療法であり、現状では効果やリスクについての研究報告が少ないです。

受診する病院やクリニックが発毛レーザー治療を行っているときは、効果やリスクについて医師と相談しながら治療法を選びましょう。

頭皮への薬物注入

皮膚に薬物を注入する「メソセラピー」と呼ばれる治療法でも、薄毛の改善につながる可能性があります。

具体的には、細い注射器を使って頭皮に「薄毛治療薬」や「髪の毛の栄養成分」を注入し、薄毛の改善を目指します。

メスで頭皮を切る植毛と違って、治療後に痛みや傷跡が残りにくいです。

治療費は1回につき1〜2万円程度と、一度にかかる費用は植毛より安いです。

しかし、効果が出るまでに繰り返し治療をおこなう必要があるので、結果的に治療費が高くなる可能性があります。

また、発毛レーザーと同様に、薬物注入の効果を示した研究は国内でほとんど報告されていません。

頭皮への薬物注入を検討しているときは、期待できる効果や費用、リスクなどを他の薄毛治療法としっかり比較しましょう。

植毛に関するよくある質問

植毛に関するよくある質問に回答します。

植毛の効果は何年続きますか?

自毛植毛の場合、移植した髪の毛が正着すれば抜けても生え変わります。

 

男性が自毛植毛をした場合、3~5年で髪が生え変わるサイクルを取り戻せるので、効果は10年以上続く可能性が高いです。

 

一方で、人工植毛の髪の毛は生え変わりません。

約3年前の人工植毛が頭皮に炎症を引き起こした事例もあるので、人工植毛は1〜3年程度しか効果を維持できない可能性があります。

植毛手術の後はどのような経過をたどりますか?

自毛植毛の手術を受けたあとは、以下の経過をたどります。

  1. 手術から約1〜2ヶ月で移植した部分の髪が抜ける
  2. 手術から約100日後に発毛が始まる
  3. 手術から約6ヶ月で髪の毛が生えそろう
  4. 手術から約1年半で本来の髪質になる

植毛はやめた方がいいと言われる理由はなんですか?

植毛はやめた方がいいと言われる理由は、以下のデメリットがあるためです。

  • 傷跡が残りやすいから
  • 効果に個人差があるから
  • 痛みが残る可能性があるから
  • 効果が出るまでに時間がかかるから
  • 感染症や副作用のリスクがあるから

とくに、自毛植毛は頭皮に炎症を引き起こす可能性が高いので、日本皮膚科学会も「おこなうべきではない」と述べています。

まとめ

この記事では、自毛植毛と人工植毛について解説しました。

【この記事のまとめ】

  • 植毛には「自毛植毛」と「人工植毛」の2つのタイプがある
  • 自毛植毛とは、自分の髪の毛を頭皮ごと切り取って薄毛部分に移植する手術
  • 人工植毛とは、ポリエステルやナイロンなどで作られた人工の髪の毛を薄毛部分に移植する手術
  • 自毛植毛は、自分の頭皮を移植するので拒絶反応が起こりにくいうえに、本来のヘアサイクルを取り戻して髪が自然に生え変わるといったメリットがある
  • 自毛植毛は「効果が出るまでに時間がかかる」や「傷跡が残る」といったデメリットがある
  • 人工植毛は頭皮に拒絶反応を起こしやすいので、日本皮膚科学会は「人工植毛をおこなうべきではない」としている
  • 費用相場は、自毛植毛で約50万〜300万円、人工植毛で約30万~100万円
  • 植毛で失敗しないために、期待できる効果や手術のリスクについて、医師からきちんと説明を受ける
  • 植毛以外にも、AGA治療薬や発毛レーザー、頭皮への薬物注入などの薄毛治療法がある

植毛は、AGA治療薬と同様に学会でも効果が認められている治療法です。

費用は高額になりやすいですが、薄毛部分に移植した髪の毛が生着すれば、長期的に髪が生え変わりつづけます。

自分の状況や予算にあった治療法を見つけるために、薄毛で周りの視線が気になりはじめたときは、AGA治療を行っている病院やクリニックで一度相談してみましょう。