仮性包茎とは|日本人の割合や治し方・真性包茎との違いを知ろう

仮性包茎
亀頭が包皮に覆われている状態である「包茎」。その中でも、自力で包皮を剥くことができるタイプを「仮性包茎」といいます。 仮性包茎の陰茎に自信が持てず、性行為や温泉、サウナなどに苦手意識を持つ方は少なくありません。陰茎に関する悩みは人に相談しづらく、どのように対処すべきか迷う方もいることでしょう。 仮性包茎を治療できれば、現在ためらっている結婚やレジャーなどもより積極的に取り組めます。ぜひこの記事を、仮性包茎の悩み解決に役立ててください。

【この記事でわかること】
仮性包茎とは
仮性包茎の原因
仮性包茎の分類・重症度
仮性包茎の治療の必要性
仮性包茎の割合
仮性包茎と真性包茎の違い
仮性包茎で起こる問題
仮性包茎の治し方
仮性包茎手術のメリット・デメリット
仮性包茎の手術方法

仮性包茎とは

仮性包茎とは、日常的には包皮に覆われているものの、手で包皮を剥くことで亀頭を露出させられる状態です。
仮性包茎について、勘違いしている人は少なくありません。いっしょに確認していきましょう。

仮性包茎の原因

仮性包茎は、以下の5つの原因により起こると考えられています。
・生まれつき包皮が長くて余っている
・自慰行為の中で包皮が伸びてしまった
・成長期に陰茎が十分に大きくならなかった
・加齢による陰茎の萎縮や皮膚のたるみが起きている
・生活習慣病により皮膚のたるみや炎症が起きている

背の高さや体型が遺伝することを考えると、生まれつき包皮が長い人は遺伝的要因が関与している可能性はあります。
また、自慰行為で包皮を引っ張りすぎたり、包皮と陰茎を同時に動かしたりするのも、包皮を伸ばして仮性包茎を悪化させる原因です。
ただし、病気や加齢が原因でない場合、多くの人は仮性包茎の原因や症状を気にせずに過ごしています。そのため、具体的な原因がわからない人は珍しくありません。

仮性包茎の分類・重症度

仮性包茎の重症度は、以下のように「亀頭がどの程度包皮に覆われているか」で分類されます。

勃起すると自然に亀頭が露出する 軽度の仮性包茎
勃起しても手で包皮を剥く必要がある 重度の仮性包茎

 

また、包皮の出口である「包皮輪」が狭かったり伸びにくかったりする場合、包皮を剥く際に痛みが生じやすい傾向があります。
とくに仮性包茎の中でも包皮輪が狭い「包皮輪狭窄」の人は、包皮が亀頭を締め付けて痛みが生じやすいため、医療機関へ相談するのが良いでしょう。

仮性包茎の治療の必要性

包皮を剥けば亀頭が露出する仮性包茎は、医学的には問題のない状態です。つまり仮性包茎は「病気」ではなく、治療するかどうかは個人の判断に任されます。
中には「仮性包茎は自然な状態であり、治療の必要はない」と明言する医師もいるほどです。
そのため、仮性包茎の治療は歯の矯正治療や医療脱毛などと同じく、健康保険が適用されない「自由診療」の扱いとなります。
しかし、仮性包茎に悩み「治療をすれば、より良い生活を送れる」と考え、治療を受ける男性は珍しくありません。
治療の必要性は、抱える悩みや包茎の状態によって異なります。仮性包茎の治療をするか迷うなら、一度、包茎治療を行う医療機関で相談してみてはいかがでしょうか。

仮性包茎の割合

公式な統計データがないため、仮性包茎の正確な割合はわかっていません。健康診断でも調査しないため「日本人男性の何割が仮性包茎である」という大規模で正確なデータを取るのは困難と考えられます。
ただし、いくつかのデータによると仮性包茎の日本人男性は2人に1人(50%)・73%などといわれています。どちらのデータでも半数以上と出ているため、仮性包茎の成人男性は珍しくないといえるでしょう。参考①参考②
また「日本人は仮性包茎の割合が高い」という話を聞いたことがあるかもしれません。
これは、海外の一部の国や地域では、宗教上の理由から赤ちゃんに「割礼」と呼ばれる包茎手術を行う習慣があるためです。
赤ちゃんの頃に包茎手術を受ければ、大人になって仮性包茎で悩むことはほぼないとされています。
割礼の習慣がない日本で仮性包茎の割合が高いのは、自然なことなのかもしれません。

仮性包茎と真性包茎の違い

仮性包茎と真性包茎の最も大きな違いは「自分の手で包皮を剥くことができるかどうか」です。手で包皮を剥いて亀頭を露出できるなら「仮性包茎」で、包皮がしっかりと亀頭に付着して剥けないなら「真性包茎」とされています。
包皮が剥けない真性包茎は、包皮内に汚れがたまりやすく、不衛生になりがちです。不衛生な状態を放置すると病気のリスクが高まるため、早期の手術が必要になります。

包茎の種類

また、真性包茎や仮性包茎の人が無理に包皮を剥いた結果、露出した亀頭が包皮に締め付けられて痛みを生じる「嵌頓包茎(かんとんほうけい)」になる場合もあります。
嵌頓包茎は放置すると血流障害によって亀頭が壊死する可能性もあるため、医療機関での速やかな処置が必要です。

仮性包茎で起こる5つの問題

仮性包茎には、以下のような問題があります。
・衛生面の悪化
・病気のリスク
・性行為への影響
・真性包茎になるリスク
・見た目へのコンプレックス

仮性包茎の程度や生活環境によって問題は異なりますが、リスクとして知っておきましょう。

衛生面の悪化

仮性包茎だと、包皮内に「恥垢(ちこう:チンカスともいいます)」という垢がたまりやすくなります。恥垢は悪臭やかゆみの原因となり、日常生活に支障をきたす可能性があります。
かゆみや悪臭を防ぐため、仮性包茎の人は毎日の入浴時に包皮を剥いてきれいに洗うことが大切です。
ただし、包皮の硬い人が無理に皮を剥くと、亀頭を締め付ける嵌頓包茎になるリスクがあります。包皮を洗うのは無理のない範囲にとどめ、悪臭やかゆみが続く場合は医療機関へ相談してみましょう。

病気のリスク

仮性包茎の人は、包皮内が蒸れて不衛生になりやすい傾向があります。また、病原菌は湿った温かい環境を好むため、仮性包茎の人は包茎でない人と比べて、性器の感染症に罹患するリスクが高くなります。
仮性包茎の人がかかりやすい病気の例は、以下の通りです。
・亀頭包皮炎:亀頭と包皮に細菌が侵入し、炎症を起こして赤く腫れる病気
・尿路感染症:尿道や膀胱、腎臓などの尿路に細菌が侵入し、熱や痛みなどの症状が現れる病気
・ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症:男性の場合、陰茎がんに発展することもあるウイルス性の病気

清潔を保つことで病気のリスクを下げられるため、毎日の入浴時に無理のない範囲で包皮を剥いて洗うのがよいでしょう。

性行為への影響

仮性包茎は、性行為において以下のような悪影響を及ぼす可能性があります。
・早漏になりやすい
・悪臭を放ちやすい
・スムーズに女性器に挿入できない
・コンドームが装着しにくく、外れやすい
・性行為へ苦手意識を持ったり、コンプレックスを感じたりする

普段包皮に覆われているため、仮性包茎の亀頭は外部からの直接的な刺激に弱い傾向があります。
包茎でない人に比べると刺激に敏感で、少しの刺激で射精にいたるケースは珍しくありません。
また、包皮内の恥垢による悪臭があると、性行為に支障をきたす可能性もあります。
仮性包茎では、包皮を剥けば亀頭が露出するため、多くの場合において性行為自体には大きな問題はありません。
しかし、より満足度の高い性行為を希望し「恋人ができた」「結婚を考えている」などのタイミングで仮性包茎の治療に踏み切る男性は珍しくないでしょう。

真性包茎になるリスク

亀頭包皮炎を繰り返したり、適切な治療が行われなかったりすると、包皮が硬くなりがちです。
硬くなった包皮が包皮口を狭めると、仮性包茎が自分の手で包皮を剥けない「真性包茎」になるリスクがあります。
仮性包茎の人に「陰茎の腫れ」「痛み」などが出た場合は、病原菌による亀頭包皮炎を起こしているかもしれません。放置せずに泌尿器科を受診し、適切な治療を受けましょう。

見た目へのコンプレックス

見た目へのコンプレックスは、仮性包茎の男性が抱える大きな悩みではないでしょうか。
性器に自信が持てないと、人に性器を見られるのに抵抗を感じたり、性行為に苦手意識を持ったりしがちです。また、強いコンプレックスを抱えると、ED(勃起障害)や早漏につながるリスクも高まります。
包茎手術によりコンプレックスが解消されれば、性行為に自信がつき、温泉やサウナなどでの裸の付き合いも前向きに取り組めるようになります。
「仮性包茎を改善したいけれど、手術をするようなレベルかわからない」と思う人もいるでしょう。悩まれる方は、包茎手術で自分の陰茎がどのように変化するか、カウンセリングで一度確認してみてください。

仮性包茎の治し方

仮性包茎の治し方は、方法によって以下の2つに分けられます。
・自力で治す方法
・手術で治す方法

説明する内容を、自分に合った治療法選びにお役立てください。

自力で治す方法

自力で仮性包茎を治そうとする場合、市販の「矯正リング」や「テープ」などを利用する方法があります。
リングとテープの目的は、どちらも「包皮を剥いた状態を固定し、亀頭が露出した状態に慣れさせる」ことです。
しかし、これらの方法は「包皮が陰茎に対して長くて余る」という仮性包茎の原因を取り除くわけではないため、効果には個人差があります。
また、使い方によっては「包皮や亀頭が傷ついて炎症が起きる」「亀頭を締め付けすぎて血流が悪くなる」などのトラブルも考えられます。
場合によってはリングやテープが包茎を悪化させるリスクもあるため、自力での改善を試みる際は説明書を読み、無理のない範囲で行うことが大切です。

手術で治す方法

包茎手術は、治療効果の高い包茎治療法です。以下の3種類が代表的な手術方法になります。
・余った包皮を切って取り除く手術
・亀頭を大きくする手術
・陰茎を長くする手術

どの手術方法も基本的には日帰りで行われますが、手術後に何度か経過観察のために来院いただく必要があります。
仮性包茎の手術は多くの場合「自由診療」です。保険適応できず10割負担となり、医療機関ごとに手術方法や費用は異なります。
後悔のないよう費用や手術方法をよく理解し、納得した上で治療を受けるようにしましょう。

仮性包茎を手術するメリット・デメリット

仮性包茎の手術には、以下4つのメリットがあります。
・真性包茎になるリスクが解消される
・日常生活や性行為への不安がなくなる
・包茎が影響する、感染症などの病気のリスクが解消される
・見た目のコンプレックスが解消される

手術により亀頭が常に露出するようになれば、包皮内を清潔に保ちやすいです。
また、コンプレックスが解消することで性行為や温泉、サウナなどで自信を持てるようになります。
手術を受けることで肉体面、精神面のどちらも改善され、前向きな気持ちで生活できるようになるでしょう。
また、仮性包茎の手術には、以下4つのデメリットがあります。
・費用がかかる
・遅漏になる可能性がある
・手術痕が残る可能性がある
・術後の腫れや生活制限がある

仮性包茎の手術には、一定の費用がかかります。
選ぶ手術方法や医療機関によって費用が異なるため、無理なく支払える金額であるかは必ず確認しましょう。
とくに包皮を切除する手術は「手術痕が残る」「包皮に色むらができる」といった可能性もあります。
リスクについても説明を受けた上で、手術を受けるかどうかを決めることが大切です。
また、手術方法によって程度は異なりますが、手術の麻酔が切れた後に痛みが出る、陰茎が一時的に腫れるなどのケースはよくみられます。
性行為や激しいスポーツなどは1〜2ヶ月間制限される場合もあるため、生活制限についても受診時に確認するようにしましょう。

仮性包茎の手術方法

大まかに分類すると、仮性包茎の手術は以下の2つに分けられます。
・包皮を切る手術
・包皮を切らない手術

各手術にはメリット・デメリットがあり、どちらが適しているかは個人差があります。
順番にみていきましょう。

包皮を切る手術

包皮を切る手術は「環状切除術」という方法が一般的です。環状切除術では亀頭を覆う余った包皮を切除し、亀頭の下で縫い合わせます。
仮性包茎の原因である余った包皮を取り除くため、包皮を切る手術は仮性包茎を確実に治療できるのがメリットです。
ただし、手術後から数日間は腫れや出血が生じるのはデメリットといえるでしょう。
手術後の一定期間は生活での制限もあるため、医師の指示を守って過ごすことが重要です。
確実に仮性包茎を治したい人は、包皮を切る手術を検討してみてください。

包皮を切らない手術

包皮を切らない手術には、以下のものがあります。

方法 特徴
亀頭増大術
  • 亀頭の輪郭にヒアルロン酸やコラーゲンを注入して大きくする
  • 亀頭が大きくなることで包皮がかぶりにくくなる
  • 陰茎の見た目を改善できる
長茎術
  • 下腹部に埋もれている部分の陰茎を引き出して長くする
  • 陰茎が長くなることで包皮がかぶりにくくなる
  • 短小の悩みを解消できる

どちらの手術方法も、切る手術よりも手術痕の心配や術後の痛みが少ないのがメリットです。ただし包皮の量自体は変わらないため、包皮を切る手術よりも仮性包茎の治療効果はやや劣るのがデメリットです。

手術方法に迷う場合は、それぞれの特徴やメリット・デメリットを考慮し、どれが自分の悩みを一番解決できるかを考えてみてください。

仮性包茎の手術がおすすめな人・おすすめしない人

仮性包茎の手術がおすすめな人とおすすめしない人を、以下の表にまとめました。

おすすめな人
  • 陰茎のにおいが気になる人
  • 病気のリスクを減らしたい人
  • 自分の陰茎に自信を持ちたい人
  • 包皮を剥いて洗う手間を省きたい人
おすすめしない人
  • 手術費用の支払いが難しい人
  • 手術後の生活制限が守れない人
  • 手術のリスクを許容できない人

仮性包茎の手術は「におい」「病気のリスク」「陰茎に自信がない」などに悩み、手術を希望するすべての人におすすめできます。

シールやリングなどによる自力での治療は根本的な解決にならず、仮性包茎についての悩みを完全に解消できないケースも多いためです。

ただし、手術には費用がかかり、傷痕のリスクや術後の生活制限などのデメリットもあります。メリット・デメリットのバランスを考えたうえで、手術を受けるかどうかを検討してみてください。

仮性包茎に関するよくある質問

包茎と包茎じゃない人はどうやって見分けるの?

包茎かどうかは、通常時の亀頭の状態で見分けられます。

判断基準は、以下の通りです。

状態 包茎かどうか
包皮に亀頭が覆われているが、自分で剥くことはできる 包茎(仮性包茎)
常に包皮に亀頭が覆われていて、剥くことはできない 包茎(真性包茎)
常に亀頭が露出している 包茎ではない

包茎かどうかは、包皮の長さと亀頭のサイズ、陰茎の長さのバランスで決まります。

包茎の見分け方について気になる点は、泌尿器科や包茎治療の医療機関へ相談してみてください。

仮性包茎の手術はいつ受けたらいいの?

仮性包茎の手術を受ける時期は、自分で決めるのがよいでしょう。

ただし、陰茎は18歳くらいまでは成長するといわれており、陰茎の成長に伴って自然に亀頭が露出して仮性包茎が改善するケースもあります。そのため未成年のうちは様子を見て、成人後に自分に手術が必要かを検討してみてください。

なお、18歳未満には手術を行わない医療機関もあるため、未成年で手術を希望する人は受診前に確認するのが確実です。

仮性包茎にテープは効果があるの?

基本的には、テープを使うだけで仮性包茎が完治する可能性は低いと考えられます。
そもそも仮性包茎治療用のテープとは、余っている包皮が亀頭にかぶさらないように固定する商品です。「クセづけ」とうたっている商品もありますが、テープは医療機器ではなく、「包茎の治療用品」とは認められていません。

テープが陰茎を傷つけたり締め付けたりする可能性もあるため、慎重に使用しましょう。

まとめ

この記事では、仮性包茎について全般的な内容を解説しました。


【この記事のまとめ】
・仮性包茎は、通常は包皮に覆われているものの、勃起したり手で剥いたりすれば亀頭が露出する状態
・医学的には問題がない状態とされており、治療は基本的に「自由診療」となる
・日本人男性の半数以上が仮性包茎といわれている
・仮性包茎だと衛生面の悪化、病気のリスク、性行為への影響、真性包茎になるリスク、見た目へのコンプレックスなどが問題となる
・テープやリングを使って自分で治す器具も販売されているが、確実性が高いのは手術による治療
・手術のメリットは仮性包茎に関する悩みを解消できること、デメリットは費用面や術後の痛みなど
・仮性包茎の手術は、包皮を切る方法、亀頭を大きくする方法、陰茎を長くする方法があり、確実性が高いのは包皮を切る方法

海外のように赤ちゃんに包茎手術をする習慣がないため、日本人男性の仮性包茎は珍しいものではありません。
生活上の支障やコンプレックスによる不都合がなければ医学的には治療する必要はありませんが、衛生面や精神面から手術に踏み切る人もいます。
手術が必要かどうかは、個人の悩みや包茎の程度によって異なります。
仮性包茎を悩み、手術をお考えの方はぜひ一度お問い合わせください。