カントン包茎とは|原因や見分け方、治し方について解説!

カントン包茎とは
「カントン(嵌頓)包茎」という言葉について、詳しく理解している人は多くないでしょう。 カントン包茎は無理に亀頭を露出させることで、陰部の皮が元に戻らなくなった状態です。 出口の狭い包皮が、亀頭や陰茎を締め付けて血流を悪くするため、医療機関での早急な治療が必要です。 しかし、ほかの包茎と勘違いするケースも多く、自分の陰部がカントン包茎かどうか判断するのは難しいかもしれません。 この記事では、カントン包茎の特徴とほかの包茎との見分け方、治し方についても紹介しています。

【この記事でわかること】
カントン包茎の概要
ほかの包茎との見分け方
カントン包茎の症状・問題点
カントン包茎の治し方
包茎手術のリスク

この記事を読めば、カントン包茎について詳しくなり、陰部への不安を減らして普段の生活に集中できるようになるでしょう。

カントン包茎とは

カントン(嵌頓)包茎は、陰部の皮を無理に剥いたために、亀頭に皮を被せられなくなった状態です。
出口の狭い包皮によって亀頭や陰茎が締め付けられ、痛みや腫れなどの症状を引き起こします。
長い時間放っておくと、血流が悪くなって陰部が壊死する可能性があります。陰部に締め付けや痛みなどを感じたら、早急に泌尿器科や専門のクリニックを受診しましょう。

カントン包茎の分類・重症度

カントン包茎は、剥いた陰部の皮が完全に戻らなくなった状態ですが、なかには似たケースが3パターンあります。
それぞれの特徴を以下の表にまとめました。

パターン 概要
常に皮が剥きにくい状態 通常時も勃起時も、皮を剥くと陰茎への圧迫感を感じる
勃起時に皮が剥きにくい状態 勃起時のみ、皮を剥くと陰茎への圧迫感を感じる
皮を剥けるが亀頭が腫れる状態 スムーズに皮を剥けるが、剥いた状態を維持すると亀頭が腫れる

 

どれも一見、カントン包茎の症状と似ていますが、分類としては「仮性包茎」や「真性包茎」にあたる状態です。
しかし、無理に皮を剥いたり放置したりすると、カントン包茎を引き起こす可能性があります。
上記のような症状があるときは、一度クリニックや病院で相談し、陰部の状態を確認してもらいましょう。

カントン包茎の原因

カントン包茎の主な原因は、陰部の皮が固くて出口が狭いことです。
医学的には「包皮輪狭窄」と呼び、陰部の皮を剥くときに強い抵抗感が生じます。
包皮輪狭窄の状態からカントン包茎を引き起こす場合、以下のようなケースが挙げられます。
・陰部の皮を無理に剥いた
・性行為による摩擦で剥けた
・子供の皮を剥いた状態で放置した
・子供が勃起したときに皮が剥けた
・皮が剥けたまま勃起して戻らなくなった
・恥ずかしさで受診せず亀頭の腫れが強くなった

亀頭が腫れると、自分で皮を戻すことは困難です。
また、糖尿病や亀頭包皮炎、硬化性苔癬(たいせん)などの病気を発症すると、陰部の皮が伸びにくくなります。
病気の影響で伸びにくくなった陰部の皮を無理に剥くと、カントン包茎を引き起こす可能性があります。

カントン包茎の治療の必要性

カントン包茎によって陰部の血流が悪くなると、亀頭や陰茎が壊死する可能性があります。
そのため、早急に泌尿器科か包茎治療を行っているクリニック、救急病院などを受診しましょう。
思春期(18歳頃)までの子どもの場合は、小児科で対応できるケースがあります。
対処が早いと手術なしで改善できますが、発症から時間が経って改善しないときは「包茎手術」を実施する必要があります。

カントン包茎とほかの包茎の違い・見分け方

自分の陰部が嵌頓包茎なのか判断しやすいように、以下2つの包茎との違いを解説します。
・真性包茎【自分で皮が剥けない】
・仮性包茎【自分で皮をスムーズに剥ける】

見分け方を知っておけば、自分の陰部に治療が必要か判断できるようになるでしょう。

真性包茎【自分で皮が剥けない】

真性包茎はカントン包茎とは異なり、通常時も勃起時も陰部の皮が剥けず、亀頭が出せない状態です。
皮が亀頭や皮同士と強く張り付いていることで、陰部の皮の出口が狭くなっています。
真性包茎のデメリットは、以下のとおりです。
・見た目が悪く感じやすい
・皮の内側や亀頭に汚れが溜まりやすい
・勃起や性行為で陰部に痛みを感じやすい
・亀頭の炎症やガンなどの発症リスクが高い

真性包茎は陰部の皮の出口が狭い状態なので、無理に亀頭を露出させるとカントン包茎を引き起こす可能性があります。
抵抗感が強くて陰部の皮が剥けないときは、一度クリニックや泌尿器科で治療法について相談してみましょう。
真性包茎について詳しく見る

仮性包茎【自分で皮をスムーズに剥ける】

仮性包茎とは、亀頭が皮で覆われていても、自分でスムーズに皮を剥いたり戻したりできる状態です。
自分で陰部の皮を剥いて亀頭や皮の内側を洗えるので、基本的に治療の必要性はありません。
しかし、スムーズに陰部の皮が剥けても、皮の出口が硬くて狭ければ、陰茎を締め付ける可能性があります。
皮を剥いて陰部の腫れや締め付けを感じたときは、泌尿器科やクリニックを受診すれば、カントン包茎を予防できます。
仮性包茎について詳しく見る

カントン包茎で起こりやすい3つの症状

カントン包茎になると、以下の3つの症状が起きやすいです。
・陰部が痛む
・亀頭が腫れる
・陰部が壊死する

それぞれ見ていきましょう。

陰部が痛む

カントン包茎では、皮による締め付けで陰茎に痛みを感じます。
性行為中に自然に剥けると、激しい痛みで行為を続けられないでしょう。
また、無理に皮を剥くと、皮が裂けて出血する場合もあります。

亀頭が腫れる

カントン包茎で陰部が締め付けられると、亀頭や陰茎の血流が悪くなります。
そのため、長時間放っておくと、亀頭に血液が溜まって腫れが生じます。
亀頭や陰茎が腫れると、さらに皮が戻りにくくなるでしょう。

陰部が壊死する

カントン包茎で陰部の循環が悪くなると、酸素や栄養が行き渡らずに亀頭や陰茎の一部、または全体が壊死する可能性があります。
壊死した陰部は、一部またはすべてを切除する場合があります。
陰部を切除すると排尿しにくくなる可能性があるので、陰部の締め付けや痛み、腫れなどを感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

カントン包茎の問題点

カントン包茎を引き起こすと、痛みや腫れなどの症状で日常生活に支障が出やすいです。
具体的には、以下のようなパターンが挙げられます。
・性行為がしにくい、できない
・陰部を十分に洗えず清潔にできない
・排尿のしにくさや痛みを感じやすい
・違和感で仕事や趣味に集中できない
・痛みで歩きやスポーツなどが制限されやすい
・不安や恥じらいなどの精神的なストレスを感じやすい

陰部の悩みで病院を受診するときは、なかなか勇気がいるかもしれません。
それでも、できるだけ早く医療機関を受診すれば、カントン包茎を改善し、日常生活や性行為を楽しめるでしょう。

カントン包茎を自力で治すのは危険

カントン包茎は自分で陰部の皮を戻せない状態なので、無理に戻す行為は危険です。
具体的には、以下のようなリスクが挙げられます。
・無理に圧迫して腫れが強くなる
・亀頭や皮から出血して感染症を引き起こす
・陰部の神経や血管を傷つけて後遺症が出る
・いつか治るだろうと放置して腫れや痛みが強くなる

陰部を傷つけないために、カントン包茎を引き起こしたときは、早めに病院や専門のクリニックで状態を確認してもらいましょう。

カントン包茎の2つの治し方

医療機関では、カントン包茎を以下の2つの方法で改善させます。
・嵌頓包茎整復法
・包茎手術

治し方について理解しておきましょう。

嵌頓包茎整復法

嵌頓包茎整復法は、医師の手で陰部の皮を元に戻す治療法です。
麻酔で陰部の痛みをコントロールしつつ、締め付けられた陰茎や亀頭を皮の中に戻します。
メスを使わないため後遺症のリスクが低く、緊急時の第一選択として用いられます。
治療の流れは、以下のとおりです。
1.ゼリーなどで表面麻酔をして、麻酔が効くのを待つ
2.異物の除去と陰部の消毒をする
3.必要に応じて局所麻酔や鎮痛剤を使用する
4.腫れを軽くするために、亀頭と陰茎を圧迫し続ける
5.道具や手で包皮を開き、亀頭を皮の内側に押し込んで戻す

整復術は緊急時の対処法であり、根本的に包茎を改善するには「包茎手術」が必要です。
また、整復後に炎症や出血が見られるときは、手術を行う可能性があります。

包茎手術

整復術で改善しないときは、包茎手術が必要です。
陰部の狭くなっている皮を切除し、締め付けを解消させます。
主な手術方法は、以下の2つです。

手術法 内容
環状切開術 ・陰茎の周りを輪のように切除し、残った皮を陰茎に縫い付ける
背面切開術 ・包皮の先端を縦に切り、皮を開いて亀頭を露出させる

・開いた皮は陰茎に縫い付ける

 

カントン包茎は緊急性が高い状態なので、発症したときは手術が保険適用になる可能性があります。
しかし、なかにはカントン包茎を発症させないために、予防的に包茎手術を行うケースも多いです。
自由診療となりますが、カントン包茎で痛みや腫れなどが出るリスクを減らせるので、陰部の皮が剥きにくいときは病院やクリニックを受診してみてください。
当院では、包茎手術を行っています。
陰部の状態に少しでも不安な気持ちがあれば、当院を受診することで治療の必要性や方向性が見えてきます。

カントン包茎を予防する包茎手術のリスク

陰部の皮の出口が狭い場合、包茎手術をすればカントン包茎を予防できるでしょう。
しかし、包茎手術はメスで陰部の皮を切るので、以下のようなリスクが伴います。
・陰茎に傷跡が残る
・陰部の感覚が鈍くなる
・手術後に生活制限が残る
・陰部に違和感や痛みが残る
・陰部の変形や変色が起こる

また、陰部はデリケートな部分なので、手術の後遺症があると、うつや不眠症などの精神症状を引き起こすケースもあります。
実績のある医師に担当してもらえば上記のリスクを減らせますが、少なからず包茎手術には失敗や後悔のリスクがつきものです。
メリットだけでなく、リスクを考慮したうえで治療を検討しましょう。

カントン包茎に関するよくある質問

子供の陰部がカントン包茎になったらどうする?

子供の陰部がカントン包茎になったときは、小児科か泌尿器科を受診しましょう。

早めに治療すれば、改善が見込めます。

理解すべき事実として、子供の包茎は、成長とともに自然に改善するのが一般的です。

両親が子供の陰部の皮を無理に剥くと、痛みや出血、カントン包茎を引き起こす可能性があります。

カントン包茎の痛くない治療法はある?

カントン包茎になると、緊急的に「嵌頓包茎整復術」か「包茎手術」を行います。

整復術は部分麻酔で痛みをコントロールするため、治療中の痛みが少ないです。

包茎手術も部分麻酔によって、治療中の痛みはほとんどありませんが、術後は炎症による痛みが1〜2週間ほど続く可能性があります。

保険適用で治療できる?

カントン包茎は早急に治療が必要な状態なので、保険適用で治療できる可能性があります。

包茎手術を保険適用で受けるときは、治療費や診察費用、入院費用などで合わせて3〜5万円の自己負担となるケースが多いです。

予防的な包茎手術は自由診療となり、15万円〜300万円の費用がかかります。

まとめ

この記事では、カントン包茎について解説しました。
【この記事のまとめ】
・カントン包茎は、陰部の皮が剥いた後に戻らなくなった状態
・陰部の痛みや腫れ、壊死などのリスクがあるため、医療機関での早急な治療が必要
・スムーズに皮が剥ける「仮性包茎」や、皮を剥いて亀頭が出せない「真性包茎」と区別しにくいことがある
・カントン包茎で戻せなくなった陰部の皮を、無理に自分で戻すのは危険
・医療機関では手術なしの「嵌頓包茎整復法」を行い、改善しなければ「包茎手術」を行う
・発症前に包茎手術をすればカントン包茎を予防できるが、手術には失敗や後悔などのリスクがある

カントン包茎は医療機関での治療が必要な状態ですが、早急に泌尿器科やクリニックを受診すれば、改善が見込めます。
少しでも不安があるときは、勇気を持って医療機関を受診しましょう。
適切に治療できれば、陰部に不安のない日常生活を送れるようになるはずです。
当院では、包茎手術を行っています。
一人一人の状況に合わせて、手術の必要性と治療法を提案するので、当院の医師と相談しながらカントン包茎を予防しましょう。