タバコがEDを引き起こす理由|電子タバコの影響や治療方法も解説

「最近、パートナーとの営みで思うように勃たない」「タバコのせいかもしれないけど、禁煙したら治るのか」などと不安に思う方もいるでしょう。 喫煙者はEDになるリスクが、非喫煙者の2倍になることが報告されています。[1] ただ、タバコが原因でなるEDには改善方法があり、禁煙によって症状が改善しやすいです。 この記事では、タバコとEDの関係や引き起こす原因、禁煙のポイントについて解説しています。

この記事で分かること

  • タバコがEDの原因になる仕組み
  • 電子タバコ(加熱式タバコ)がEDに与える影響
  • ED改善に効果的な禁煙のポイント
  • EDに効果的な治療法

この記事によってタバコとEDの関係を理解し、症状改善の第一歩になれば幸いです。

タバコはEDの原因となる

喫煙とEDが関係しているのは医学的に明らかにされています。
なぜなら、喫煙者は非喫煙者と比較して、EDを発症するリスクが2倍も高くなるからです。

勃起は、陰茎への十分な血流によって引き起こされます。ただ、タバコに含まれる有害物質は血流を妨げます。
そのため、1日の喫煙本数が多い方や、長期間の喫煙歴がある方は、より重度の勃起障害をを引き起こす可能性が高くなるのです。

ある報告では、禁煙した元喫煙者のED発症率は、喫煙経験のない人とほぼ同じレベルまで改善することが確認されています。
そのため、禁煙はEDの症状の改善に大きく影響しています。

EDに関連するタバコの有害物質

タバコの煙には、勃起機能に悪影響を及ぼす様々な有害物質が含まれています。
とくに問題となるのが、以下の化学物質です。

有害物質 主な作用 EDへの影響
ニコチン
  • 血管の収縮
  • 心拍数の上昇
  • 血圧の上昇
  • 陰茎への血流減少
  • 勃起力の低下
  • 持続時間の短縮
一酸化炭素
  • 血中酸素量の減少
  • 血管内皮の損傷
  • 組織の酸素不足
  • 勃起に必要な血流の低下
  • 組織の機能障害
  • 勃起機能の全般的な低下

これらの有害物質は、それぞれが単独で勃起機能に悪影響を及ぼし、複合的な作用によっても勃起機能に大きなダメージを与えます。
問題なのは、喫煙を続ける限り継続的に有害物質が蓄積され、時間とともにED症状が悪化していく可能性が高い点です。
EDの予防や改善を考える上で、禁煙は最も重要な対策の一つとなるでしょう。

電子タバコ・加熱式タバコとEDの関係性

電子タバコは、従来の紙巻タバコと比べて「健康的」というイメージがありますが、EDとの関連性も指摘されており、EDになる可能性はあります。
たとえば、アメリカの研究によると、電子タバコの使用は勃起機能に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。
考えられている具体的なメカニズムは、以下のとおりです。

  • 電子タバコでの喫煙により、体内で「活性酸素種」や「ヒドロキシラジカル」という有害物質が増加する
  • 有害物質による酸化ストレスにより、血管内皮の損傷が起こる
  • 勃起に必要な血流が確保できなくなり、EDに影響を与える

また、海外で販売されているニコチン入り電子タバコは、従来の紙巻タバコと同様に血管収縮作用により勃起機能の低下を引き起こす可能性もあります。

しかし、電子タバコとEDの関係については、まだ研究報告が少ないため、今後の研究の成果が期待される状況です。

なお、加熱式タバコは、たばこ葉を専用の機器で加熱し煙を発生させるもので、なかにはニコチンを含む製品もあります。
そのため、ニコチンを含む加熱式タバコは、従来の紙巻タバコと同様にEDを引き起こすリスクは十分考えられるでしょう。

タバコ(喫煙)がEDを引き起こす5つの理由

喫煙は、さまざまなメカニズムを通じてEDを引き起こします。

  • 血管が硬くなる
  • 交感神経が優位になる
  • 血管の内皮が障害される
  • 海綿体組織の状態が変わる
  • 男性ホルモンの分泌が減少する

それぞれみていきます。

血管が硬くなる

喫煙によって動脈硬化が進行すると、EDになるリスクが高まります。
喫煙を続けると、血管の壁に脂肪や不要な物質が付着し、血管の弾力性が失われていきます。
陰茎への血流の悪化によって、あらわれる症状は以下の通りです。

  • 勃起力の低下
  • 十分な硬さ不足
  • 勃起の持続時間の短縮

また、動脈硬化は、EDに加えて深刻な病気のリスクを高めるため注意が必要です。

  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 脳梗塞

喫煙期間が長くなるほどタバコの影響は強くなり、症状も深刻化しやすくなります。

交感神経が優位になる

本来、勃起には副交感神経と交感神経のバランスが欠かせません。
副交感神経が血管を拡張させ、陰茎に流れ込む血流を増やして陰茎が大きくなり、勃起状態となります。
喫煙は自律神経系のバランスを崩し、交感神経を優位にします。
交感神経と副交感神経は反対の働きをおこなっており、交感神経は血管を収縮させて血流を減らし、勃起を収める役割を担っているのです。
そのため、喫煙により交感神経が過剰に働くと、海綿体の筋肉が緊張状態になり、勃起しにくい状態が続いてしまいます。

血管の内皮が障害される

喫煙は、血管内皮にも悪影響を及ぼし、勃起に必要な血流の悪化をまねきます。
血管内皮とは、血管の内側を覆う細胞で、勃起機能に大切な役割を果たす部分です。
タバコに含まれる有害物質によって、血管内皮の細胞が直接的なダメージを受け、動脈硬化症に進行します。
血管内皮の細胞に異常が起こると、血の塊ができやすくなり、徐々に血管内が狭まっていきます。
喫煙による血管内皮への障害は、時間の経過とともに蓄積していくため、早い段階での対策が望ましいでしょう。

海綿体組織の状態が変わる

陰茎の勃起は、海綿体と呼ばれるスポンジのような組織への血液の充満によって起こります。
性的な刺激を受けると海綿体の筋肉が弛緩し、陰茎へと血液が流れ込みやすくなり、勃起が起こります。
喫煙による動脈硬化によって生じるのは、海綿体にある内皮組織の機能低下です。
また、問題となるのは、血管内皮由来の一酸化窒素(NO)の産生が低下することです。
NOは陰茎の血管を拡張させるために大切な役割を果たすため、産生が低下すると勃起機能の低下が起こります。

男性ホルモンの分泌が減少低下する

テストステロンと呼ばれる男性ホルモンは、EDと密接な関わりがあります。
タバコに含まれる有害物質はこのホルモンバランスを崩すため、EDに悪影響を与えるでしょう。

通常、勃起は性的刺激を受けた際に、大脳からの信号が陰茎の神経に伝わり始めます。
この信号を受けた神経が、陰茎海綿体の筋肉を弛緩させ、血管を拡張させて勃起するという一連の流れになっているのです。
男性ホルモンの低下によって、性的刺激を受けて勃起に至る一連の流れを妨げ、結果的に十分に勃起できなかったり、勃起が持続しにくくなったりします。
男性ホルモンの低下は、性的欲求の減退だけでなく、勃起のメカニズムにも支障をきたします。

タバコ由来のEDに効果的な禁煙の5つのポイント

タバコ由来のEDを改善するには、継続的な禁煙が大切です。
ここでは、禁煙に効果的な5つのポイントを紹介します。

  • 禁煙補助薬を使う
  • 周りに禁煙を宣言する
  • 禁煙開始時日を設定する
  • 禁煙によるメリットを理解する
  • 吸いたい時の代わりの行動を決める

それぞれ説明します。

禁煙補助薬を使う

禁煙の成功率を大きく高めるツールとして、禁煙補助薬があります。
研究によると、補助薬の使用により、自力での禁煙と比べて成功率が1.5~2.2倍に向上すると報告されています。
現在、日本で利用できる主な禁煙補助薬は、以下のとおりです。

種類 入手方法 特徴
ニコチンパッチ(医療用) 禁煙外来
  • 高用量で効果が高い
  • 健康保険が適用される
  • 24時間効果が持続する
バレニクリン(飲み薬)

※現在、出荷再開準備中

禁煙外来
  • ニコチンを含まない
  • ニコチン離脱症状を緩和する
  • たばこの満足感を抑制できる
  • 禁煙成功率が最も高い
ニコチンパッチ(市販用) 薬局・薬店
  • ドラッグストアで購入できる
  • 医療用のものより用量が少ない
ニコチンガム 薬局・薬店
  • 即効性がある
  • 使用量を自分で調整できる
  • 補助としても活用される

とくに、禁煙開始直後の2〜3日間は、離脱症状が強く現れるのですが、補助薬を使用すれば症状が和らぎます。
どの禁煙補助薬が合うかは、喫煙本数や生活スタイルによって異なるため、確実な禁煙を目指す場合は禁煙外来で相談するのがおすすめです。

周りに禁煙を宣言する

禁煙を成功させるには、周囲のサポートがとても大きな力になります。
なかでも、家族やパートナーへの宣言は日常的なサポートが受けられるため、禁煙の決意を固められるでしょう。
また、一緒に喫煙習慣のある仲間への報告は、喫煙を誘われる機会を減らす効果も期待できます。
適度なプレッシャーとサポートが得られる環境を整えるのは、継続的な禁煙へとつながります。

しかし、周囲のすべての人に宣言すると過度なストレスになる場合もあるため、信頼できる身近な数名に伝えるようにしてみてください。

禁煙開始日を設定する

禁煙を始める前に、具体的な開始日を決めるのも効果的です。
何かの記念日など、自分にとって覚えやすい日や、生活パターンに合わせた日を選ぶのが大切です。
休日に喫煙本数が増える方は平日から、職場での喫煙が多い方は休日から開始してみましょう。
また、禁煙の理由を具体的に書き出しておくと、禁煙がつらい時の支えになります。
決めた開始日は、カレンダーに印をつけたり、禁煙宣言書を目につく場所に貼ったりすると、視覚的に決意を確認できます。

禁煙によるメリットを理解する

具体的なメリットを理解すると、禁煙への意欲も高まるでしょう。
禁煙には、EDの改善以外にも、以下のようなメリットがあります。

健康面のメリット
  • 循環器系の改善
  • 呼吸機能の回復
  • がんリスクの低下
  • 肌質が改善する
  • 周囲の人の健康保全
生活面のメリット
  • 経済的な余裕が生まれる
    (1日1箱600円で月約18,000円、年間20万円以上の節約)
  • 時間を有効活用できる
    (1本あたり5分、1日20本で約1時間40分の時間節約)
社会面のメリット
  • 周囲との関係が改善する
  • 仕事の効率が上がる
  • 火災のリスクがなくなる

とくに重要なのは、生活面・社会面における禁煙のメリットは禁煙開始直後から現れるという点です。こういったメリットを感じられると、徐々に無理なく健康な状態を取り戻していけるでしょう。

吸いたい時の代わりの行動を決める

禁煙開始後、とくに2〜3日目をピークに離脱症状がみられ始めます。
「タバコを吸いたい」という欲求をはじめ、イライラ感や頭痛などの症状が10〜14日ほど続く場合があります。
しかし、吸いたい気持ちのピークは3〜5分程度のため、この短い時間を乗り切るための代わりとなる行動をあらかじめ決めておくのが大切です。
効果的な代わりの行動の例は、以下のとおりです。

  • 朝一番:顔を洗う、深呼吸する
  • 食事後:歯磨きをする、お茶を飲む
  • 休憩時:ストレッチする、散歩する
  • 仕事中:ガムを噛む、水を飲む
  • 帰宅時:深呼吸する、音楽を聴く

とくに、ストレッチや深呼吸は、「ストレス解消」と「リラックス効果」が期待できる行動になります。さまざまな手段を事前に試してみて、自分に合った方法を見つけておきましょう。

禁煙と同時に行うべき3つのED治療法

EDの治療は、禁煙だけでなく複数のアプローチの組み合わせによって、より効果をあげられます。
日本でおこなわれているED治療の例は以下のとおりです。

  • 生活習慣の改善
  • 薬物療法
  • 低出力体外衝撃波(LI-SWT)

それぞれ解説します。

生活習慣の改善

ED治療では、禁煙と並行して日々の生活習慣の見直しも重要です。
とくに、肥満の改善は強く推奨されており、適度な運動と食事管理により体重を減らすと、EDの症状が改善したという報告も多くあります。

運動療法としては、有酸素運動が効果的です。ウォーキングやジョギングなど、自分に合った運動を1日30分程度行えば、血行促進やストレス解消にもつながります。
また、栄養バランスの良い食事や十分な睡眠もEDの改善には欠かせません。

薬物療法

EDの治療薬として、陰茎海綿体の血管を拡張させ、勃起を促進する「PDE5阻害薬」が日本ではおもに処方されています。
禁煙とPDE5阻害薬を組み合わせることで、より高い治療効果が期待できるでしょう。
現在、日本で処方可能な主な治療薬は、以下の3成分です。

ただし、ED治療薬の使用は医師による処方箋が必要なため、必ず医療機関での診察を受けましょう。

低出力体外衝撃波(LI-SWT)

低出力体外衝撃波治療は、薬物療法によっても効果が得られにくい場合に選択される、比較的新しいED治療法の一つです。
この治療法は、陰茎に微弱な衝撃波を与えて血管の新生と血管拡張を促進し、血流を改善する効果があります。
従来のPDE5阻害薬による治療で十分な効果が得られなかった方にも、効果が期待できるとされています。
治療は通院で行われ、痛みもほとんどないため、身体的な負担は少なめです。

しかし、保険適用外であるため、治療費が比較的高額になる点も理解しておきましょう。

タバコが原因のEDに関するよくある質問

タバコ由来のEDについてよくある質問です。

  • メンソール入りのタバコはEDになりやすいですか?
  • 禁煙するとどれくらいでEDは治りますか?
  • 加熱式タバコに似ている「ベイプ」ではEDになりますか?

詳しく説明していきます。

メンソール入りのタバコはEDになりやすいですか?

メンソール入りのタバコは、通常のタバコと比べてEDのリスクが高まる可能性があります。

 

なぜなら、メンソール入りのタバコは、喫煙すると喉に爽快感を与え、苦みやえぐみを感じにくくするからです。

 

その結果、喫煙者は肺の深い所までたばこの煙を吸い込み、ニコチンの摂取量が増えて依存性が高まります。

 

メンソール入りのタバコを好んで吸う方は、EDリスクの増加には注意しましょう。

禁煙するとどれくらいでEDは治りますか?

個人差がありますが、今までの研究から、禁煙の日数とEDの改善効果には以下のような傾向があると報告されています。

 

  • 2〜3週間:心肺機能の改善
  • 1ヶ月後:陰茎の膨張度と硬度がすみやかに改善
  • 6ヶ月後:非禁煙者と比較し、ED改善確率が2倍向上

 

禁煙6ヶ月後には、ED症状を改善させる確率が喫煙者の約2倍になったという研究結果もあります。

 

喫煙ペースによって改善速度は異なりますが、継続的な禁煙で着実に効果が期待できるでしょう。

加熱式タバコに似ている「ベイプ」ではEDになりますか?

ベイプは、通常のタバコや加熱式タバコより、EDのリスクは低いと考えられます。

 

日本で販売されているベイプは、法律によりニコチンが含まれておらず、タールや一酸化炭素も発生しません。

 

しかし、健康への影響が懸念される物質の生成や、長期的な影響の研究不足があり、完全に安全とは言えません。

 

EDの改善を本気で考えている方は、完全な禁煙を目指すのをおすすめします。。

まとめ

この記事では、タバコとEDの関係性と改善方法について詳しく解説しました。

【この記事のまとめ】

  • タバコはEDの大きなリスク要因となる
  • 喫煙によるEDの主な原因は、血管の硬化や血流低下、男性ホルモンの減少である
  • 電子タバコも従来の紙巻タバコと同様に、EDのリスクがある
  • 禁煙により、約1~6ヶ月で症状の改善が期待できる
  • 禁煙と合わせて、適切な治療法を選択するとより効果的である

症状の改善には時間がかかる場合もありますが、禁煙の継続によって確実に良い方向に向かうでしょう。
この機会に禁煙をして、より健康的な生活を始めてみるのはいかがでしょうか。
もし、EDの症状に気づいた場合はまず禁煙を開始し、必要に応じてクリニックへの相談を検討してみましょう。